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個人再生のメリットデメリットを専門家が詳しく解説

個人再生の手続きは、債務整理の効果が大きい反面、手続きの中で債務者自らがやらなければならないことも多く、メリットとデメリットがはっきりしている手続きといえますので、手続き選択のミスマッチがおきないように、正しい知識をもった上で、利用されることが非常に大切です。

 

筆者紹介島さん司法書士資格を持つライター 債務整理関連の法律や手続きに詳しい 小池現役看護師 自分の体に強いコンプレックスを感じ、各種二重整形を始め様々な整形術・ダイエットを行った経験を持つ

個人再生のメリット とデメリット

メリット

  • 借金の経緯は問われない
  • すべての債務の元金を減らすことができる
  • 債権者が反対しても借金を整理できる
  • 返済のために財産を処分する必要がない
  • 破産の場合のような様々な制限がない
  • 住宅ローンが残っている場合でも住宅を手放さずに済む
  • 強制執行をとめることができる
  • 過払い金の請求ができる

デメリット

  • 収入がなければ利用できない
  • 手続きが複雑
  • 債務者自らで再生計画案を作成しなければならない(裁判所に任せきりにできない)
  • 返済額があまり減らない場合がある
  • 保証人・連帯保証人に迷惑がかかる
  • 専門家に依頼することが必須
  • 官報に掲載される
  • ブラックリストに掲載される

これらのメリットやデメリットとされることでも、たとえば、保証人・連帯保証人へ一括請求がなされてしまうこと、官報に掲載されるということは、個人再生に限ったデメリットではなく、破産の場合にも同様のことが生じます。

 

また、ブラックリストに掲載されることは、債務整理一般に共通するデメリットです。ただ、借金を清算して新しい生活を始めるときに、新規の借入ができないということは、再度借金に苦しむきっかけを摘むということでもありますから、本当にデメリットかどうかは、評価の分かれるところでしょう。以下では、これらのうちで特に重要なものについて、説明を加えることにします。

 

【関連記事】06.借金とブラックリストの詳しい解説|情報を消すことはできるのか?
      09.間違えると危険!連帯保証人と保証人は全く別物!

 

借金の経緯を問われないこと

たとえば、延滞の程度があまりにもひどかった場合には、貸金業者との任意整理は難しいということもあるでしょう。また、借入から債務整理までの期間が短いときには、それまでの返済の実績がほとんどありませんから、任意整理が成立する可能性はほとんどありません。

 

さらに、このような場合には、破産したとしても免責不許可となる可能性も否定できません。また、ギャンブルや浪費などによる借金の場合には、免責不許可となる可能性があることは、よく知られているのではないかと思います。このように、借金の経緯に問題がある場合であっても、個人再生を利用することで問題なく債務整理を行うことが可能となります。

 

【関連記事】56.ギャンブル・FX・株・キャバクラ等の借金でも破産すると免責できる?

 

債権者が反対していても債務整理が可能

債務整理をすることは、債権者にとっては、回収できる金額が減ることになりますので、やはり好ましくないことです。そもそも(ヤミ金や悪質業者の場合を除けば)貸金業者が貸付金を返してもらえることや、利息を受け取れることは正当な権利でもあります。

 

債務整理はこれが制約されることですから、やはり債権者にとってはおもしろいものではありません。特に任意整理や特定調停では、債権者が債務整理に反対しているときには、そもそも債務整理が成立しません。

 

債権者の同意がなくても借金を減らせる手段としては、破産がありますが、破産するためには、すべての財産を売却しなくてはならなくなります。個人再生には2つの債務整理のやり方がありますが、給与所得者等再生とよばれる方法では、債権者の同意を得られなくても、一定の金額を原則3年間の分割で返済することで、債務整理をすることが可能となります。

 

【関連記事】33.個人再生は2種類ある「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」

 

民事再生では財産を処分する必要がありません

破産は、破産者のすべての財産で債務を清算するための手続きですから、破産者が所有している財産が処分されることは、当然の前提ということになります。そのため、持ち家のある方や、自動車等の価値の高い財産を手放したくないという方にとっては、利用しづらい手続きです。

 

これに対して、個人再生は、清算のための手続きではなく、「返済をやり直す」ための手続きですから、債務者の財産を処分することを前提としていません。

破産の場合にある様々な制限もありません

破産の場合には、破産手続き中の引っ越しや長期の旅行が制限されたり、破産者宛の郵便物が破産管財人へ転送され内容を調査される等の私生活にかかわる制約を受けることになります。このような制約は、破産者の財産を適正に調査・管理するために必要とされています。

 

これに対して、個人再生は、財産の処分を必要としていませんので、破産の場合に発生するこのような制約は一切発生しません。また、破産者となるわけではありませんから、破産者となることで生じる一定の資格や職業についての制限も発生しません。

住宅ローンの残っている持ち家を残すことができます

個人再生を理由すれば持ち家を残して債務整理ができるということは、多くの方がご存じのことかもしれません。住宅ローンには抵当権が設定されていますが、この抵当権は破産の場合であってもそれに優先して権利行使が可能なほど、強力な権利です。

 

しかし、個人再生は、住宅ローンを抱えた方でも債務整理が可能な手続きを提供することを目的に作られた制度でもありますから、たとえば、住宅ローン債権者による競売を中止させることができる等の特別な取扱いをすることが認められています。

 

【関連記事】36.個人再生の目玉「住宅ローン特則」について専門家が詳しく解説

 

個人再生は、借金を「返すため」の手続きです

個人再生は、破産のように清算のための手続きではなく、あくまでも「借金を返す」ための手続きです。個人再生では、借金を減額させた上で、その残りを原則3年間の分割払いで返済することになります。したがって、その3年間の分割払いのできる収入がない方(無職の方)は、個人再生を利用することができません。

借金が多すぎる場合にも利用できません

個人再生は、住宅ローンの残額を含まない借金の総額が5,000万円以下の場合のみに利用することができますので、これを超える借金を抱えている場合には利用することができません。個人再生は3年間の分割払いで返済する手続きなので、借金の額が多すぎる場合には不向きな手続きですから、そのような条件が設定されています。

借金が少なすぎる場合にもむいていません

個人再生では、債務の減免によって不利益を受ける債権者が納得(我慢)できるだけの返済をしなければいけません。そのため、借金の額が少ない場合や、可処分所得が多い場合には、利用する手続きの選択を間違えると、現在の返済額とあまり変わらない額の返済をしなければならなくなる場合もあります。

 

そのようなことにならないためにも、弁護士や司法書士に相談されて、ご自身にとって最も適切な債務整理の方法を選択されることが大切です。

 

【関連記事】34.個人再生では、具体的にどのくらいの金額を返済するのか?

 

手続きが難しい

個人再生は、債務整理の方法の中では、最も複雑な手続きです。また、債務者が自らしなければならないこともたくさんありますし、裁判所に提出する書類も最も多くなりますが、その提出期限を守らなかったこと、個人再生の手続きが台無しとなる場合もあります。

 

【関連記事】35.個人再生での再生計画の作成と認可の流れについて専門家が詳しく解説

 

弁護士や司法書士のサポートが必要不可欠です

そのため、個人再生による債務整理を利用するためには、弁護士や司法書士のサポートを受けることが必要不可欠です。
 
弁護士や司法書士への依頼が必要不可欠だということは、その分費用がかさむという意味で、このことがデメリットとして説明されることがよくありますが(この記事でも便宜上そうしましたが)、個人再生はメリットも多い手続きですし、個人再生のデメリットといわれることの大半は、弁護士や司法書士のサポートを得られることで解消されますから、弁護士や司法書士に依頼しなければいけないことは、本当はデメリットではないのかもしれません。

 

【関連記事】16.債務整理に強い弁護士・司法書士を見つけるための8つのポイント

 
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