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アルバイトや契約社員など非正規雇用者が債務整理する際の注意点

「債務整理したいけど、私はアルバイトだから難しそう」「私はアルバイトだから自己破産しかできない」と思っている方は少なくないようです。

確かに、正社員に比べてアルバイトは、収入が不安定で、身分の保障もありません。また、会社の都合で突然のリストラにあってアルバイト生活を余儀なくされたために借金に行き詰まったという方もいるでしょう。

しかし、債務整理は、「仕事が何か」ということよりも、「返せるかどうか」の方がはるかに重要です。実際に、アルバイトでも任意整理や個人再生の利用は可能なことがあります。

今回は、アルバイトの方の任意整理・個人再生の利用についてお話していきます。「アルバイトだから自己破産しかない」とあきらめる前に参考にしてください。

筆者紹介島さん司法書士資格を持つライター 債務整理関連の法律や手続きに詳しい 小池現役看護師 自分の体に強いコンプレックスを感じ、各種二重整形を始め様々な整形術・ダイエットを行った経験を持つ

アルバイトでも任意整理できる

任意整理では、次の方法で毎月の返済額を減らした上で、3(~5)年で返済することが一般的です。

  • 利息制限法で利息を引き直して借金を減額する
  • 将来利息と遅延損害金を免除してもらって債務元金を返済する
  • まとまった金額を一括返済することで債務元金を減額してもらう

利息制限法での引き直しの方法は、2008年以前の借金のみで利用できます。また、一括弁済できるケースも実際には多くないでしょう。したがって、将来利息と遅延損害金を免除してもらい残った借金の元本を3(~5)年の分割で返済することになります。

任意整理では「3(~5)年の間、毎月いくらなら返済できるのか」ということが最も重要です。したがって、アルバイトやパートであっても、「返済できるだけの収入」があれば、問題なく任意整理できます。

具体的な例で説明してみましょう

ある消費者金融から100万円を年15%の利息で借りたとします。この場合、「元利方式毎月1回払い」の返済では、毎月の最低弁済額は26,000円、返済回数53回、返済総額は約137万円になります。

これを2年半(24回)返済したところで、任意整理したとします。

先ほどお話ししたように、任意整理では「将来発生する利息」を免除してもらいます。したがって、任意整理で返済するのは「残っている借金の元金だけ」です。

このケースの残元金は「約63万円」です(任意整理せずに返済する際の残額は約75万円)。これを3年間(36回)で分割返済するので、「毎月の返済額は17,500円」となります。

説明のために単純な例でお話していますが、このケースでは「毎月17,500円を3年間」返済できるだけの収入があれば、アルバイトの方であっても、任意整理に応じてもらう可能性が高いのです。

債権者にとっても任意整理は損失が少ない

消費者金融やカード会社にとって最も困るのは「貸したお金が回収できない」ことです。自己破産されてしまえば、残っている借金のほとんどは回収できません。

またアルバイトの方の場合には、給料を差し押さえようとしても、正社員に比べれば仕事を辞めやすいので、「差し押さえても逃げられる」可能性も低くありません。

そのため、「きちんと返済できる」のであれば、任意整理にも応じてもらえるのです。

なお、この説明のケースは、任意整理しても残元金を確実に回収できれば、「約25万円」の利益があるので、かなりの確率で任意整理に応じてもらえると思われます。

アルバイトでも個人再生できる場合がある

個人再生は「3(~5)年で借金を返済する」債務整理である点では任意整理と同じですしかし、個人再生は裁判所の手続きなので、任意整理よりも収入のチェックが厳格になるので注意が必要です。それでも「3年間で所定の金額を返済できる」のであれば、アルバイトの方であっても個人再生を利用できます。

個人再生では「3年で100万円返済」できるかがポイント

個人再生は、「借金の元金が減額される」点で任意整理と違いがあります。減額の割合は、借金の額や債務者の財産状況によって異なります。個人再生での返済額については、下記の記事で詳しく説明していますので、参考にしてください。

たとえば、100~500万円の借金を個人再生するときには、不動産などの高価な財産を保有していなければ、返済額は100万円となります。この100万円を3年間で返済できるだけの収入があれば、アルバイトであっても個人再生を利用することは可能です。

小規模個人再生の利用要件

個人再生は民事再生法という法律で定められています。民事再生法は、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」があることを小規模個人再生の利用要件としています(民事再生法221条)。

「この将来において継続的または反復して」というのは、所定の額を「3ヶ月に1度以上の頻度(民事再生法229条2項2号)の返済」を「3年間継続できる」収入があることを意味しています。

ポイントは、個人再生での返済は「毎月」である必要がないことです。返済が毎月ではなく「3ヶ月に1度で良い」というのは、毎月の収入額が不安定になりがちなアルバイトの方にとって有利です。

たとえば、500万円以下の借金(返済額100万円)であれば、「3ヶ月で8万円」の支払いを3年間継続できれば、アルバイトの方であっても個人再生を利用することができます。

したがって、個人再生申立てまでに、「数年以上継続して勤めているアルバイト先のある方」であれば、個人再生を利用できる可能性は高いのです。

給与所得者等再生は難しい

個人再生には、小規模個人再生のほかに、「給与所得者等再生」という方法があります。実際の個人再生の9割は小規模個人再生ですが、債権者との関係が芳しくないケースでは、給与所得者等再生を利用することがあります。

給与所得者等再生は、名前の通り「正規の定職」のある方を念頭においた手続きです。そのため、「過去2年間の月収が20%以内の変動幅」に収まっていることが利用条件となっています。アルバイトの方であっても、この条件を満たしてれば給与所得者等再生を利用できる可能性があります。

しかし、給与所得者等再生では、小規模個人再生よりも「返済額が多くなる」のが通常なので、アルバイトの方が給与所得者等再生を利用することは難しいケースが多いです。

なお、小規模個人再生と給与所得者等再生の違いについては、下記の記事で詳しく説明しています。

小規模個人再生と給与所得者等再生の違い

弁護士・司法書士と相談して「最も有利」な債務整理を行うことが大切です

債務整理は、あなたが抱える借金の額や事情に最も適した方法で行うことが大切です。たとえば、借金の額が100万未満であれば、個人再生を利用しても借金は減額されないので、任意整理の方が有利です。

また、900万円以上の借金では、債務整理しても毎月の返済が5万円を超えますので、アルバイトの方では返済が難しいこともあるでしょう。借金の額が多すぎるときには、やはり自己破産しかないというケースもあります。

あなたにとって最も有利な債務整理を見つけるには、弁護士・司法書士に相談することがベストの方法です。「アルバイトだから」とあきらめずに「早期に対応する」ことが多くの選択肢を残すことにもつながります。



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