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60代以上の高齢者が債務整理する場合の注意すべきポイント

60代では多くの方が定年退職を迎え収入が減少します。また、健康面での不安も増えてくるので、債務整理できるのか?と不安になります。

しかし、60代や70代でも債務整理に成功した方は多くいるのであきらめないことが大切です。今回は、債務整理するための注意すべきポイントを紹介していきます。

筆者紹介島さん司法書士資格を持つライター 債務整理関連の法律や手続きに詳しい 小池現役看護師 自分の体に強いコンプレックスを感じ、各種二重整形を始め様々な整形術・ダイエットを行った経験を持つ

まずは過払い金の有無を確認しましょう

60代の方の借金は、「最近借りた」というよりも「借金と返済」の繰り返しによる場合が少なくありません。「2008(平成20)年よりも前」から借金を完済することなく返済し続けている方は、過払い金が発生している可能性が高いです。

過払い金がある場合には、借金がなくなるだけではなく、お金が戻ってくるケースもあります。

借金に過払いがあるかどうかの調査は、多くの弁護士・司法書士が無料で行っています。また、過払い金の調査には、過去の契約書や支払明細書といった資料も必要ありません。

「過払い金は私の借金には関係ない」とあきらめたりせずに、弁護士・司法書士に相談してみてください。

過払い金返還請求については、下記の関連記事も参考にしてみてください。

在職中の方は、在職中に債務整理を!

在職中の方であれば、在職中に任意整理することが一番です。在職中であれば、年齢に関係なく任意整理できる可能性は高いです。また、任意整理では、退職金や自宅も失いません

「退職金で借金を返済」ということをよく耳にします。「退職金で確実に完済」できるのであれば、それも1つの方法です。しかし、「退職後」や「退職直前」に個人再生・自己破産することは、在職中の個人再生・自己破産よりも「退職金の取扱いが不利」になります。

退職金の扱い

個人再生や自己破産では、退職金(見込み額)は、以下の金額が債権者への返済に用いられます。

  • 在職中の個人再生・自己破産では、「その時退職したときに受け取れる1/8の金額」
  • 退職直前の個人再生・自己破産では、「受け取れる退職金の1/4の金額」
  • 退職(金受領)後の個人再生・自己破産では、「99万円を超える全額」

できるだけ多く退職金を残すためには在職中の個人再生・自己破産がベストです。

個人再生・自己破産における退職金の取扱いについては、下記の記事も参考にしてください。

ポイント

中高年の方の借金は、浪費よりも生活苦(収入不足)を原因とことが多いです。そのため、借金が慢性化しやすい傾向があります。たとえば「あと5年で定年退職だから退職金で完済しよう」と思っていても、5年後には「退職金では返済できないほど借金が膨らんでしまった」ということも珍しくありません。

退職金や自宅は老後の備えとして最も重要な財産です。「定年退職まで頑張る」ことよりも「勇気を持って任意整理する」ことをおすすめします。

退職後でも「自宅を残すため」に任意整理をあきらめない

定年退職後であっても任意整理をあきらめる必要はありません。実際に60代・70代の方でも任意整理に成功したケースはたくさんあります。いまの60代以上の方はまだまだ健康で元気な方が少なくありません。フルタイム勤務でなくても、定期的な収入があれば、任意整理できる可能性はあります。

「ローン完済済み」や「アンダーローン」では個人再生は不利

60代で持ち家のある方は、「ローン完済」か「完済間近」という方がほとんどでしょう。この場合には、個人再生では借金は減らない可能性が高いです。個人再生では、原則として「所有財産の総額が借金総額よりも大きい」ときには借金は減免されません。

したがって、資産のある方は個人再生をしても、任意整理と返済額は変わりません。個人再生は手続きも複雑で、費用も任意整理よりも高いので、不動産を保有している60代の方にはメリットのない場合がほとんどです。

なお、個人再生については、下記の記事も参考にしてください。

「まとまった財産のない方」は自己破産が最も有利

破産で生じる最も大きなデメリットは、持ち家などの財産を失うことです。したがって、持ち家や99万円を超える預貯金など、まとまった財産のない方に破産によるデメリットはほとんどありません。破産して「生活に必要な家具」が処分されることもありません。

自己破産すると「年金に悪影響があるのでは?」と心配する方が少なくないようですが、破産しても「年金受給資格」は失いません。また、年金受給者が破産しても年金は差し押さえられません

年齢と共に健康を損なうリスクは高くなっていきます。任意整理や個人再生は、「3(~5)年間」で借金を返済する債務整理です。その間に病気をして自己破産という可能性もあります。

なお、破産しても手元に残る財産についてはこちらの記事を参考にしてください。

年金担保融資制度を利用する

年金を受給されている方であれば、「年金担保融資」を利用して借金を借換えることも可能です。年金担保融資は、文字通り、年金を担保に借入をする「公的制度」です。

独立行政法人福祉医療機構(WAM) 厚生年金、国民年金、船員保険年金、労災年金
日本政策金融公庫(JFC) 恩給、災害補償年金、共済年金、共済組合が支給する厚生年金

融資限度額は、受給している年金額や返済可能額で異なります。WAMでは最大200万円、JFCでは最大250万円まで借り入れることができます。年金担保融資は、急な医療費負担等への支援として設置された制度ですが、「債務の一括返済」を目的とした借入も可能です。

なお、年金担保融資の金利は年2%以下ですから、年15%以上の金利となる消費者金融や信販会社と比べて格安です。実際に、年金担保融資を利用した借換えで借金を返済した方は少なくありません。

なお、WAMには融資限度額計算シミュレートのページがあります。

融資限度額計算シミュレートで、あなたの融資限度額を確認してみるとよいでしょう。

年金担保融資から融資を受けた場合には、「年金から天引き」で返済します。返済額は1万円単位で設定でき、30回(2年半)で返済することが一般的です。また、入院などの事情で返済が厳しくなった際には、毎月の返済額を減らしてもらうことも可能です。ただし借入元金は減りませんので、返済回数が増えます。

【関連リンク】
独立行政法人福祉医療機構(WAM)
日本政策金融公庫(JFC)

年金担保融資を騙った詐欺やヤミ金に注意

近年では、年金担保融資を騙った詐欺やヤミ金が横行しています。「公的制度」である年金担保融資は、「福祉医療機構」と「日本政策金融公庫」しか取り扱えません。その他の業者はすべて詐欺かヤミ金ですから注意してください。

子供に支援してもらう

収入が減る60代以上の方が多額の借金を債務整理することは大変なことです。いまは男女ともに平均年齢が80歳を超え「長寿社会」ですから、年金や自宅で債務整理することはできれば避けたいものです。

60代以上の方であれば、子供も既に独立している方が少なくありません。子供の支援を受けて債務整理することも重要な選択肢です。

  • 子供に借金を肩代わりしてもらう(第三者弁済)
  • 子供に任意整理の連帯保証人となってもらう

という方法が考えられます。借金も相続されますから、子供にとっても親の借金は他人事ではありません。

不動産担保ローンやリバースモーゲージで借り換える

持家を担保に低金利で融資を受け、高金利の借金を返済する方法もあります。不動産担保ローンやリバースモーゲージがこれに該当します。

リバースモーゲージは、生存中は、持ち家で生活しながら「利息のみ」を支払い、死亡時に借金を一括返済(もしくは担保にした不動産で返済)する点で、通常の不動産担保ローンとは異なります。子供もなく1人住まいで死後に持家を残す必要がないケースであれば、不動産担保ローンよりもリバースモーゲージの方がおすすめです。

金融機関のリバースモーゲージとしては、東京スター銀行の「充実人生」、りそな銀行の「安心革命」が有名な商品です。

債務整理・人生の再出発に年齢は関係ありません

60代や70代の方であっても債務整理に成功した方はたくさんいます。まず「あきらめない」ことが一番重要です。他方で、年齢を重ねれば重ねるほど、収入・体力(健康)面で債務整理も難しくなっていきます。

これ以上借金を深刻化させる前に、弁護士・司法書士に相談し、ベストな解決策を見つけ出すことがとても重要です。



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