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特定調停による債務整理の流れを専門家が詳しく解説|特定調停①

特定調停に関心をもたれている方の多くは、弁護士や司法書士に依頼することなく、ご自身だけで債務整理することを検討している方が多いと思います。

 

特定調停は、自己破産や個人再生に比べれば確かに簡易な手続きですが、裁判所で行われる手続きですので、正しく理解した上で利用しなければ、予期しない不利益が生じる可能性もあります。この記事では、特定調停の全体的な流れについてお話していくことにします。

 

※他の記事より少し難しい内容になっています。

 

筆者紹介島さん司法書士資格を持つライター 債務整理関連の法律や手続きに詳しい 小池現役看護師 自分の体に強いコンプレックスを感じ、各種二重整形を始め様々な整形術・ダイエットを行った経験を持つ

特定調停とはどのような手続きなのか

特定調停とは、わかりやすくいえば、裁判所を利用した任意整理ということができます。裁判所の手続きには、裁判のほかに「調停」とよばれる話し合いのための手続きがあります。離婚調停という言葉を耳にされたことのある方は多いと思いますが、離婚の場合と同じように、借金の返済にかかる問題も調停手続きによる話し合いで解決することが可能です。

特定調停の利用は減少傾向にあります

民事調停によって債務整理をすることは、古くから広く行われてきたことですが、平成12年に、「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」(一般的には特定調停法とよんでいます)が施行されたことを受け、「特定調停」とよぶようになりました。

 

しかし、近年では、法律の改正によって特定調停によって債務整理をすることのメリットが減少したり、民事再生手続きなどが整備されてきたこと等を理由に、特定調停の利用は減少傾向にあります。

特定調停手続きの流れ

特定調停の手続きを示すとおおむね次のようになります。

  • 調停の申立て
  • 受付と債権者への通知
  • 事情聴取期日(調査期日)
  • 調停期日
  • 調停手続きの終了
  • 調停調書もしくは調停に代わる決定に基づく返済

調停の申立て

①書類の作成と簡易裁判所への申立て

特定調停を申し立てるための手続きの解説については、下記の【関連記事】をご覧ください。

 

特定調停の手続きは裁判所で行われる手続きですから、法律が定めている必要書類を正しく記入した上で、申し立てを行わなければなりません。実際に一般の方がご自身だけで作成された書類には不備が多いことから、申し立てを後日にやり直すということは少なくありません

 

これらの書類をご自身で作成することが難しいときには、司法書士にその作成の代行を依頼することも可能です。また、申し立て先となる簡易裁判所も自由に選べるというわけではありません。特定調停の相手となる債権者(貸金業者)の所在地を担当する簡易裁判所に申し立てることになります。

 

また、書式や郵便切手の収め方なども裁判所によって違う場合があるので注意が必要です。ご自身で特定調停を申し立てる際には、まずは簡易裁判所に問い合わせてみることをお勧めします。

 

【関連記事】30.特定調停のやり方・具体的な手続き|特定調停③ 
 

②受付と債権者への通知(受付票の送付)

申立ての内容・書類共に問題がなければ、特定調停の申立ては、その日のうちに受理されます。通常の場合であれば、申立てから2日後を目処に、各債権者に調停の申立てがなされたことと、契約書や取引履歴等を裁判所に提出するよう要請する通知(特定調停の受付票とよんでいます)が送付されます。

 

この受付票が債権者に届くと、弁護士・司法書士から受任通知が届いた場合と同様に、債権者による直接の取立行為が法律上禁止されます
 

【関連記事】 19.弁護士司法書士に依頼すると返済の督促が即止まるのは本当?受任通知

 

また、特定調停の申立てが受理されると、次に説明する事情聴取のための期日が設定され、これが申立人にハガキ等で通知されるほか、特定調停を担当する調停委員2名が選任されます。

③意見聴取期日(調査期日)

特定調停の申立てから約1ヶ月後に、調停委員と申立人債務者(あなた)による事情聴取期日が開かれます。この期日には債権者は出席しません。簡易裁判所によっては調査期日や準備期日などの他の呼び方をする場合や単純に第1 回目の調停期日を意見聴取のための期日として行う簡易裁判所もあります。

 

この事情聴取期日では、申立書の内容、債務状況、返済の原資の有無、今後の生活の見込み等について確認、質問され、それらを踏まえた上で、今後の返済計画案(調停案)を作成することになります。

 

申立人に収入がない場合や、収入に対する借金の額が大きすぎる場合のように、将来の返済が見込まれないケースでは、調停を取り下げるように勧められたり、調停をしない措置がとられることで、この段階で特定調停が終了する場合もあります。

④調停期日(調整期日)

事情聴取期日から約1ヶ月後に、各債権者も含めた話し合いとなる第1回調停期日が開かれます(この期日を調整期日などとよんでいる裁判所もあります)。この調停期日では、事情聴取期日で作成された返済計画案に基づいて、各債権者との間で個別に話し合いがもたれます。

 

実際の調停は、一般的には、申立人債務者(あなた)と相手方債権者が共に調停期日に出席し、調停委員の提案する返済計画案(調停案)をベースに両者の話し合いが上手くいくように調停委員がサポートするという形で進められますが、貸金業者のほとんどは特定調停の期日には出席しないので調停委員が電話で対応することが一般的です。

 

特定調停で債権者と直接会うことはまずありません

 

貸金業者が出席してきた場合でも、調停委員が申立人債務者(あなた)と相手方債権者(貸金業者)から個別に話を聞き取る形で話し合いが進められることが一般的ですから(別席調停とよんでいます)、貸金業者と直接話をするということはまずありません

 

ところで、貸金業者からは、よく「和解には応じられないが17条決定なら仕方がない(調停委員に17 条決定をしてもらいたい)」というような意見が述べられることがあります。そのような場合には、調停委員が調停期日中に、電話で当該債権者と交渉し、その内容を申立人にも確認した上で、調停主任(裁判官)が17条決定を作成することになります(17条決定については、次の項目で説明をしています)。

⑤調停手続きの終了

調停手続きの終わり方には、次のようにいくつかの種類があります。

  • (ア)調停の取下げ
  • (イ)調停をしない措置
  • (ウ)調停成立
  • (エ)調停に代わる決定(17条決定)
  • (オ)調停不成立

(ア)調停の取下げ

申立人(あなた)自身が、調停を取りやめることを調停の取下げといいますが、実際には、申立人が積極的に調停を取り下げるというよりも、収入不足や借金の額が大きすぎることが原因で、将来の返済が確実に行われることに疑いがもたれるようなケースのときに、調停委員から調停を取下げるように勧められて取り下げることの方が一般的です。

(イ)調停をしない措置

申立人に返済ができるだけの収入がないことが明らかなときには、「返済のための協議」を目的とする特定調停を続けても意味がありませんから、調停委員会が職権で特定調停を終了させる場合があります(特定調停法11条)。

(ウ)調停成立

調停期日において、各債権者との間で返済計画(調停案)に合意が得られれば、その合意内容に基づいて調停調書が作成され和解が成立し、これによって特定調停が終了します。

(エ)17条決定

調停は、当事者の話し合いによって問題を解決するための手続きですが、例外的に裁判所がその問題に必要となる決定をすることができるとされています。実際の特定調停の約60%がこの17条決定によって終了しています。この決定は、正式には「調停に代わる決定」といいますが、民事調停法17条がその根拠となっていることから、実務では「17条決定」とよばれることが一般的です。

 

貸金業者の中には、和解には応じないが17条決定なら応じるという業者が少なからずありますが、これは、「貸金業者の方から積極的に利息等を免除するわけにはいかないが、裁判所が利息等を免除しなさいと決定するなら仕方がない」というような趣旨によるものが多いと思われます。

 

17条決定は、残っている債務に2~3ヶ月分程の遅延損害金相当額を上積みした額について将来利息を免除した上で年程度の分割で返済する内容でなされることが一般的です。

(オ)調停の不成立

特定調停における申立人債務者(あなた)と債権者との間の話し合いが合意に至らなかった場合には、調停の不成立として、手続きが終了となる場合があります。これを不調とよぶこともあります。

 

調停案について債権者からの同意が得られなかった場合には、不成立よりも17条決定がなされることによって特定調停が終わることの方が多いのですが、この決定に債権者が異議を述べた場合には、不成立の場合と同じ取り扱いになります。また、申立人債務者(あなた)が特定調停を取り下げた場合も不成立と同じ扱いとなります。

 

特定調停の不成立のときには、特定調停が申し立てられる前の状態に戻ります。したがって、借金の減額等の効果は一切発生しないだけでなく、特定調停を申し立てたことにより停止されていた債権者からの取立ても再開することになります。ですから、特定調停が不成立の場合には、任意整理・民事再生・破産といった他の手続きによる債務整理を検討することになります。

調停調書もしくは調停に代わる決定に基づく返済

調停が成立した場合や17条決定に債権者が異議を述べなかったときには、その内容に沿って借金を返済します。特定調停の場合には、残っている借金に2~3ヶ月分の遅延損害金を上乗せした額を、将来利息を免除して3年で返済することが相場であるとよく言われます。

特定調停は「借金を返す」ことが前提となる債務整理です

言い換えれば、この額を3年間で返済できるだけの収入がないときには、特定調停を利用して債務整理は難しいと理解しておくべきでしょう。また、特定調停の成立や17条決定によってに決められた内容には、裁判の確定判決と同等の効力が与えられます。そのため、調停成立後の返済に遅れや不払いが生じると、債権者は、債務者(あなた)の給与等を差し押さえることが可能となりますので、特に注意が必要です。
 

【関連記事】 29.特定調停による債務整理の注意すべき7つのポイント|特定調停②
 
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