任意整理による返済は3年から5年かけて行うものですから、その間に予期しない出来事が起こる可能性は十分にありえます。ご自身の病気はもちろんのこと、突然のリストラや、家族の病気、あるいは出産、冠婚葬祭などで、予定外の出費を迫られるということは十分にありえます。
しかし、任意整理の返済中は、いわゆるブラックリストに掲載されていますから、金融機関からの新規の借入はできません。
この記事では、そのような場合の対処方についてお話していきます。なお、任意整理後の返済も確実に難しくなったという場合には、下記の関連記事をお読みください。
【関連記事】 26.任意整理中に返済が困難になった場合にするべきこと
ヤミ金融からは絶対に借りてはいけない
通常の金融機関からは新規の借入はできない状況での借入先として、多くの方が最初に思い浮かべるのは、やはりヤミ金融でしょう。しかし、当サイトでもことあるごとに申し上げているように、ヤミ金融からだけは絶対に借入をしてはいけません。
ヤミ金融は、困っている状況にある人を食い物にすることを商売としていますから、「今回1回だけだから大丈夫」という甘い認識でついヤミ金融から借り入れてしまったことは、必ず後に大きな問題に発展します。同じ過ちを繰り返さないためにも、さらに大きな過ちを招かないためにも、ヤミ金融にだけは手を出してはいけません。
公的機関から借入をする
生活に困窮しているという場合には、公的機関から生活費を借り入れられる場合があります。社会福祉協議会や福祉局が窓口となっている公的融資の仕組みがそれに当たります。下の表は社会福祉協議会が窓口となっている融資について簡単にまとめたものです。
緊急小口資金(融資)は、医療費の支払いや給与の盗難・紛失、火災、初回給与の支給待ちといったような場合に、10万円を上限に無利子で融資してもらえる制度です。総合支援資金は、失業によって生活が困難となっている場合に、ハローワークでの求職活動を条件に、生活に必要となる資金の貸し付けをしてくれる制度です。
種類 | 説明 | |
---|---|---|
福祉資金 | 緊急小口資金 | 緊急で一時的な理由で生活に困った場合に10万円までを無利子で借りられる制度 |
総合支援基金 | 生活支援費 | 生活を再建させるためにハローワーク等で求職活動をしながら3~6ヶ月程度の生活費の援助をうける制度 |
住宅入居費 | 引っ越し・住居探しに伴う費用について援助を受ける制度 | |
一時生活再建費 | 公共料金の滞納や債務の支払いのために生活費が一時的に不足した場合の生活費を借りる制度 |
また、母(父)福祉資金は、福祉局がおこなっている貸付事業で、20歳未満の子供を不要している母(父)子家庭である場合には、生活費や子供の就学・修学資金・結婚資金等の借入を受けることができます。
いずれも公的な制度ですから、融資に際しては審査がありますので、詳細については、下記のリンクやお住まいの地域の社会福祉協議会・福祉局に問い合わせてください。
【関連リンク】 全国社会福祉協議会 (生活福祉資金の案内ページ)
緊急小口資金の案内 (東京都社会福祉協議会)
母(父)子福祉資金 (東京都福祉局)
中小の登録業者から借り入れる
信用情報がブラック状態にある場合には、大手の貸金業者等から新規の融資を受けることはできませんが、中小の貸金業者であれば、ブラック状態にある場合であっても、「現在収入があって返済能力がある」と判断された場合には、新規の融資をしてくれる場合があります。
しかし、これらの貸金業者の貸付利息は、それが利息制限法の上限利率以内であったとしても決して軽い負担ではありませんから、貸金業者から借りるということは極力避けるべきでしょう。
悪質業者に注意
これらの中小の貸金業者から借り入れる際には、その業者が悪質業者でないかをチェックすることを忘れてはいけません。登録番号を装っている悪質業者もいますから、その貸金業者の登録番号を元に下記のリンク先等で、登録情報と整合するかどうか必ず確認しましょう。
この登録番号は、所轄する地域のあとに( )の数字がありますが、これは登録更新の回数に応じて増える数字になっています。また、悪質業者には(1)という業者(たとえば、都(1)とか、○○県知事(1))が多いですから、登録更新回数の多い貸金業者を選ぶようにすることで、悪質業者からの借入は回避しやすくなります。
【関連記事】 10.これだけは知っておきたいヤミ金融(ネオ闇金)の8つの手口と対策
【関連リンク】 貸金業者情報検索 (金融庁)
悪質業者に関する情報 (金融庁)
悪質業者の検索ページ (日本貸金業協会)
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