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債務整理がクレジットカードに与える影響とは?専門家が解説

一昔前であれば、クレジットカードで決済する取引はそんなに多くありませんでした。しかし、現在では、インターネットが普及したことに伴い、クレジットカードで決済する取引の方が多くなりつつあります。またクレジットカードは、ショッピングの決済(立替金)だけでなく、キャッシング(借入)にも使えることから、借金の問題と深く関わっています。

 

筆者紹介島さん司法書士資格を持つライター 債務整理関連の法律や手続きに詳しい 小池現役看護師 自分の体に強いコンプレックスを感じ、各種二重整形を始め様々な整形術・ダイエットを行った経験を持つ

クレジットカードの怖さ

弁護士や司法書士といった借金の問題にかかわる専門家の間では、借金の問題を「クレ・サラ問題」ということがあります。これは、クレジットカードとサラ金の略語です。そのような呼び名がつくほど、クレジットカードは借金の問題と深く関わっています。現在では、様々な場面でクレジットカードが利用され、発行されていますから、1人1枚ではなく、1人で何枚ものクレジットカードを持つことが当たり前の時代になりました。それだけ、クレジットカードは私たちの生活を切り離せない存在になっています。

 
クレジットカードによる決済の怖さは、実際に現金で決済をしているわけではないので、「ついつい使いすぎてしまうこと」でしょう。また、クレジットカード利用料金も一括払いではなく、リボルビング払い、いわゆるリボ払いという定額支払い方式を利用していると、毎月の返済額が一定ですから、利用金額が膨れあがっていることに気付きづらいという怖さもあります。
 
また、キャッシング(借入)についても、サラ金ともよばれる消費者金融に比べて「健全な金融機関」「怖くない」というようなイメージがありますから、借り入れることへの警戒心が薄れやすい怖さもあります。

任意整理とクレジットカード

任意整理とクレジットカードとの関係では、次のようなことに関心を持たれている方が多いのではないかと思います。

 

  • 任意整理後もクレジットカードをそのまま使い続けることはできないか?
  • 任意整理後に新規のクレジットカードを申し込むことはできるのか?
  • 債務者のクレジットカードを親カードとする家族カードの取り扱いはどうなるのか?
  • 債務者の家族名義のクレジットカードを親カードとする家族カードの取り扱いはどうなるのか?

 
これらについて結論を簡単にまとめたものが次の表です。

 

任意整理後の利用 カードの更新の可否
当該クレジットガード会社を任意整理の相手とした場合 × 任意整理後がこの債権者のクレジットカードは利用できません × 信用情報から債務整理の事故情報が消えるまでは新規申し込みできません
当該クレジットカード会社を任意整理から除外した場合 このカードについて延滞等も問題がなければ、当面は利用できる可能性もあります × 信用情報は、カード会社間で共有されていますので、更新の際に不利な取り扱いを受けます
当該クレジットカード会社を任意整理した場合の家族カード × 任意整理後がこの債権者のクレジットカードは利用できません × 信用情報から債務整理の事故情報が消えるまでは新規申し込みできません
家族のカードを親カードとする家族カード 親カードの名義人に問題がなければ、そのまま継続して利用できます 信用情報は、カード会社間で共有されていますので、更新の際に不利な取り扱いを受ける可能性があります

 

クレジットカード会社を任意整理から除外する

クレジットカードの利用停止を回避するには、そのクレジットカード会社を任意整理から除外することになります。任意整理は自由な交渉によって、これからの返済について債権者と新たに取り決めることですから、「誰と」その交渉をするのかを決めることも、基本的には自由です。実際の任意整理の場合にも、利用額がごく僅かというカードや、利用実績がないカードについてまで、任意整理の対象とすることはあまりありません。

他の貸金業者と債務整理したことはばれる

しかし、このように継続して使いたいクレジットカードを任意整理から除外したとしても、他の貸金業者との間で任意整理が行われれば、その事実はいわゆるブラックリストに掲載されます。このブラックリストの情報は、金融機関で共有されていますから、他社との間であっても任意整理を行ったという事実は、(即座にというわけではなくても)必ずクレジットカード会社には伝わります。

信用情報に傷が付いたことの不利益は受けます

そのため、クレジットカード会社が(他の業者との)任意整理の事実に気がついた時点で、任意整理から除外した会社のクレジットカード会社であっても、利用停止となったり、残額の一括返済を請求されたりする可能性があることに、注意が必要です。

クレジットカードの利用契約には、「あなたが債務整理した際には、期限の利益を失う」という趣旨の契約条項が必ず入っていますので、他社としか任意整理を行っていない場合であっても、利用停止あるいは一括請求の対応をとられることがあると予め覚悟しておくべきでしょう。
 
そのカードについて、これまで延滞がなく、利用実績も良好である(いわゆるスコアリングが良い場合)には、他社との債務整理を見逃してもらえる可能性もありますが、いつ利用停止となっても困らないように、公共料金などがカード払いとなっている場合には、口座引き落としに切り替える等の準備を予めしておくことが望ましいでしょう。

家族カードについて

家族カードについては、親カードの名義人が当該クレジットカード会社と任意整理をした際には、当然その家族カードも利用停止の扱いとなります。家族カードは親カードの名義人の信用に基づいて与信されますので、親カードの名義人に信用不安があれば、そのまま芋づる式に影響を受けるのは当然のことになります。
 
したがって、家族カードのあるクレジットカード会社を任意整理から除外した場合であっても、上で説明をした場合と同様に、他社との任意整理した事実が信用情報に登録される(ブラックリストに掲載される)ことによる不利益を受けることになります。
 
これとは逆に、家族名義のクレジットカードの家族カードは、その名義人である家族に問題がなければ、あくまでもその家族カードの与信は、名義人である家族の信用情報に基づいてなされますから、家族カードの利用者が任意整理をしたことで利用停止となることはありません。ただし、家族カードの更新の際には、その利用者に事故があったことが判明したことで、家族カードの利用に制限がかかることは十分にあり得ます。

ETCカードについて

いまでは高速道路の料金は、ほとんどの方がETCカードで支払っています。それこそ高速道路の料金所では、ETCレーンの側に渋滞ができ、ETC非対応のレーンの方が空いているという場合も珍しくないほどまでにETCカードは普及しています。ETCを利用することで各種の割引も受けられますから、いまでは必需品ともいえる存在です。
 
このETCカードは、通常はクレジットカードの追加カードとして発行されているため、任意整理をした場合には、クレジットカードの場合と同じ扱いをうけることになりますから、ETCカードも利用できなくなります。

クレジットカードが使えない(作れない)場合の対処方としては、ETCパーソナルカードというものがあります。これは、事前に保証金を支払うことで、高速道路料金を銀行や郵便局の引き落としで決済できることが可能となるカードです。
 
保証金が必ずしも安くない(月の平均利用額に応じて2万円~)が難点ですが、ETCカードがないと困るという場合には、これを利用するほかありません。なお、法人や個人事業主の場合には、ETCパーソナルカードよりも保証金の安いETC法人カードを作ることが可能です。詳細については関連リンクよりご確認ください。

 
【関連リンク】 ETCパーソナルカード(ETCポータルサイトへ)
      ETC法人カード (高速情報協同組合)

ポイント

確かにクレジットカードの使えない生活は不便です。しかし、任意整理を行わなければならなくなったということは、毎月の収入と支出のバランスがとれていないことが原因です。そのようなときに、使いすぎの危険性のあるクレジットカードを保有したままでいることは、再度借金問題を抱えてしまう引き金にもなります。いまではクレジットカードで様々な公共料金などを決済することが増えましたので、即座に利用停止となるのは確かに生活に支障を来す可能性がありますが、任意整理したことをきっかけに、それらの決済手段を変更して、クレジットカード決済に頼らない生活を心がけることも大切なのかもしれません。

 
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