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専門家が語る任意整理の流れとメリットデメリット

借金の整理とは、ごく簡単にいえば、現在抱えている借金の返済を今度どうするか(その返済額や返済方法・返済期間)について、再度決め直すための交渉を行うことです。この基本は、どの方法を用いても同じです。この記事では、そのうち任意整理とよばれる方法について説明をしていきます。

 

筆者紹介島さん司法書士資格を持つライター 債務整理関連の法律や手続きに詳しい 小池現役看護師 自分の体に強いコンプレックスを感じ、各種二重整形を始め様々な整形術・ダイエットを行った経験を持つ

任意整理とは

任意整理は、裁判所での手続きを用いることなく、借り主(の代理人)が貸し主とこれらの交渉を直接行うことで、借金を整理する方法のことで、最も多く用いられている債務整理の方法です。

 

任意整理による債務整理の場合には、①利息制限法の上限金利にしたがって利息を再計算しなおして借金を減額した上で、②これまでの遅延損害金や将来発生する金利をカットし、③残った借金を3~5年の期間をかけて返済する内容の和解を貸し主である貸金業者等と結ぶことによって、借金を整理します。建前としては、借り主本人が貸金業者等と交渉することも可能ですが、実際には、弁護士や司法書士を代理人に立てて、貸金業者等と交渉することが一般的です。
 
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任意整理の一般的な流れ

任意整理はおおむね次のような流れで行われます。個別のケースの事情によって異なりますが、任意整理は専門家への依頼から3~6ヶ月ほどで和解に至るのが一般的です。

 

  1. 専門家(弁護士・司法書士)に任意整理の相談をする
  2. 専門家(弁護士・司法書士)に任意整理の依頼をする
  3. 代理人となった専門家が貸金業者等へ「受任通知」を送付する
  4. 貸金業者等へ取引履歴を開示するよう請求する
  5. 利息制限法に基づいて借金を計算しなおす(引き直し計算といいます)
  6. 和解のための交渉と和解締結
  7. 和解内容にしたがって返済

 

①専門家に任意整理の相談をする

弁護士や司法書士にいきなり債務整理を依頼するのではなく、依頼前に債務整理について、これらの専門家に相談をすることが一般的です。借金の問題は、ご自身にとって重大な問題ですから、「どの専門家に依頼すべきか」ということは、非常に重要なことです。また、専門家も人間ですから、依頼人との相性もありますので、まずは直接話してみることが大切です。

 

さらに、借金の状況によっては、任意整理を希望されている場合であっても、再生手続きや自己破産といった裁判所の手続きを用いるべき場合もあるかもしれませんので、ご自身の現状についてしっかりと相談されることが大切です。

 

弁護士や司法書士に相談すると高額の相談料が発生することを心配される方も少なくないと思いますが、最近では、債務整理に関する初回の相談を無料で行っている弁護士・司法書士が増えていますので、積極的に、気軽に相談されることをお勧めします。
 
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②専門家に任意整理を依頼

相談した専門家が信頼できるようであれば、その専門家に任意整理を依頼することになります。この際には、「委任契約」という契約をその代理人と締結することになります。委任契約の締結によって専門家があなたの代理人となって、貸金業者との和解(借金整理のための)交渉にあたることになります。

③受任通知の送付

弁護士・司法書士がある債務者の代理人となったときには、貸金業者に対して、債務者から債務整理のための代理を受任したことを通知するために書類を送付します。これを「受任通知の送付」とよんでいます。受任通知が送付されると、貸金業法という法律や金融庁のガイドライン等により、貸金業者は債務者本人(あなた)に対する直接の返済の催促、借金の取立行為が禁止されます。
 
【関連記事】19.弁護士司法書士に依頼すると返済の督促が即止まるのは本当?受任通知

④取引履歴の開示を求める

任意整理のための交渉を正しく行うためには、借金の現状を正しく把握しておく必要があります。借金の状況は取引明細書のような書類からも確認することができますが、一般的に、借金の問題を抱えていらっしゃる方の多くは、これらの書類を保管していないことが多いようです。

 

また、このことが「書類もないからわからないから、何もできない」と諦めてしまい、早期に債務を整理する障害となっていることも少なくありません。

 

しかし、貸金業者には、取引履歴を開示する義務がありますので、これらの書類が手元になくても、弁護士が貸金業者に取引履歴の開示を求めることで、借金の状況(契約日時、返済履歴等)を正確に把握することが可能となります。

⑤利息制限法に基づいて借金を計算しなおす

貸金業者から開示された取引履歴を基に、2010年以前の借金であれば、借り入れに付される利息はいわゆるグレーゾーン金利で設定されていることが一般的ですから、これを利息制限法の上限金利に基づいて借金を計算しなおす作業をします。これを引き直し計算とよんでいます。

 

この引き直し計算によって、法的に返済すべき借金の額を計算することができます。これまでの返済の経緯によっては、引き直し計算によって、借金が減額されるだけでなく、既に完済していて過払い金が発生していることがわかる場合もあります。
 
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⑥和解交渉と和解の締結

⑤で説明した引き直し計算によって算出された債務額を基に、弁護士・司法書士がその返済計画について貸金業者1社1社と個別に交渉します。この交渉は、依頼人(債務者)の個別具体的な状況に応じて、一括返済を条件に債務の減額を交渉する場合もあれば、これまでの遅延損害金や将来利息を免除した債務を3~5年の分割で返済する交渉をする場合等があります。

⑦和解の内容に基づいて返済

貸金業者との和解がまとまれば、そこで合意された返済計画にしたがって借金を返済していきます。この場合は、債務者(あなた)が直接貸金業者に返済するのではなく、代理人の専門家を通じて(弁護士・司法書士事務所の口座に入金して)返済していくことが一般的です。

任意整理のメリット・デメリット

どの債務整理の方法にも、債務者(あなた)にとって有利な点と不利な点が存在しますが、任意整理の場合についてまとめると次のようになります。

任意整理のメリット

  • 専門家代理人がついたときには、貸金業者からの督促と取立てが止まり返済も一時的にストップする
  • 裁判所の手続きを用いないので負担が少なく、周囲に知られるリスクが小さい
  • 職業制限や資格制限が発生しない
  • 交渉する債権者を選択できるので、保証人がいる場合に迷惑をかけずに済む
  • 持ち家や車を手放さず済む
  • 過払い金がある場合には債務を減額できる

任意整理のデメリット

  • 必ずしも貸金業者と和解が成立するわけではない
  • 任意整理後5年はカードの利用やローンを組むことができなくなる
  • 裁判手続きではないので、債務が免除されることはない
  • 和解は返済することが前提となるため収入がない場合には利用できない

 

任意整理は裁判所の手続きではないため、どの貸金業者と交渉するかを自由に選択することができます。したがって、保証人のいる債務や車のローンについては、任意整理から除外することで、保証人に迷惑をかけたり、車を手放すことを回避することが可能となります。他方で、裁判所の手続きではないので、貸金業者との交渉がまとまらない可能性があり、過払い金がある場合や一括弁済が可能な場合等を除いては、元本が減額されることはまずありません。

 
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