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破産しても免責が認められない8つの理由とは?

この記事では、免責手続きについて説明します。個人破産は、借金の返済義務を免除してもらうために利用されるものですが、返済義務を免除してもらうためには、裁判所に「免責」を認めてもらう必要があります。
 
厳密には、この免責を得るための手続きは、破産の手続きとは別に実施されることになっています。

 

筆者紹介島さん司法書士資格を持つライター 債務整理関連の法律や手続きに詳しい 小池現役看護師 自分の体に強いコンプレックスを感じ、各種二重整形を始め様々な整形術・ダイエットを行った経験を持つ

免責とは

免責は、借金の返済義務を免除させることです。よく「破産すれば借金が帳消しになる」といわれたりしますが、これは正確には、この免責のことを指しています。義務が免除されるというのは、とても強力な法的効果ですから、破産を申し立てだけで免責されるというのでは、「借りられるだけ借金をしてあとは破産で踏み倒せば良い」ということになりかねませんから、債権者との関係であまりにも不公平です。
 
そこで、破産手続きに手持ちの財産を拠出して債権者にできる限りの配当をし終えたことで、始めて免責の手続きを始めることができるというのが破産法の基本的な考え方です。

免責は誰にでも与えられるものではない

破産者を免責にしても良いとされる根拠には、2つの考え方があるとされています。その1つ目は、「破産手続きでできる限りの返済をした破産者に対する特典・ご褒美」として免責が認められるという考え方で、もう1つは、「破産者が借金から解放され経済的な再出発をするためには免責させることが必要不可欠なのだ」という考え方です。
 
これはいずれの考え方だけが正しいというものではなく、破産者に免責を与えるという制度の背景には、「精一杯のこと返済をしたのだからもう解放させてあげよう」という側面と、「借金で苦しんでいる人を社会(制度)として救わなければいけない」という側面の両方があるのだという程度に理解しておけば十分でしょう。むしろ、ここで大切なのは、免責は「当然に与えられる」ものではないということなのです。

免責不許可事由

破産法では、一定の事情がある場合に、免責を認めないことにしています。この事情のことを免責不許可事由といい、次の事情がそれに該当します。

 

  • 債権者への配当を邪魔する目的で、財産を隠した場合
  • 債権者への配当を邪魔する目的で、財産の価値を減少させた場合
  • 破産の開始を遅らせるために、ヤミ金からお金を借りたり、クレジットカードのショッピング枠を現金化した場合
  • 特定の債権者だけに優先的な返済や担保提供した場合
  • ギャンブルや浪費などで多額の借金をつくった場合
  • 破産申立ての1年前までの間に、債権者を騙し返済できないことがわかっている借金をした場合
  • 破産手続きに協力しなかった場合や、破産手続きを妨害する等の行為で、裁判所や債権者に対して不誠実な対応をしたとき
  • 前の免責から7年以内の再度の免責申立ての場合

 
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免責の手続き

免責の手続きは、次の手順で進められます。

 

  1. 免責手続きの申立て
  2. 免責調査
  3. 免責の審尋
  4. 免責決定

 

免責手続きの申立て

さきほども説明したように、免責は破産手続きが終了してからでないと始めることができません。免責手続きは、破産手続きが終了してから1ヶ月以内に免責の申立てをすることによって開始されますが、実際には、破産の申立てと同時に免責も申立てもすることになります。

免責調査

免責の申立てがなされると、免責不許可事由の有無、免許不許可事由がある場合には、裁量免責の可否を判断するために必要な調査を行います。この調査は、管財事件の場合には、破産管財人が行いますが、同時廃止事件の場合には、破産管財人は選任されませんので、裁判所書記官に行わせることができます。
 
しかし、裁判所書記官による調査には限界があります。そこで、現在では、免責不許可事由が存在する場合や免責不許可事由が存在する疑いのある事件では、破産者に財産がなく同時廃止と扱える場合であっても、管財事件として取り扱うことが一般的です。免責調査型の管財事件では、破産管財人が破産者に直接面談して事情聴取することによって調査することが一般的です。

 

この際には、借入の原因や、借金が増えていった経緯等について聴き取るほか、免責不許可事由が存在するためには、裁量免責を与えるべきかどうかを判断するための資料として、破産者の生活状況等についても調査を行い、裁判所に報告書を提出します。最近では、破産者に反省文を書かせたり、生活再建策をまとめさせたり、3ヶ月ほどの期間毎月破産者と面談し、その際に家計簿などを提出させるケースもあるようです。
 
この調査の際に、破産者が破産管財人の調査への協力を拒んだ場合には、そのことが免責不許可事由とされますので、注意しなければいけません。

免責の審尋

この免責の審尋は、多くの裁判所で、「本人の出席」を必要なものとしています。破産申立ての際の破産の審尋は、弁護士(代理人)がいる場合には、開催されたとしても代理人が出頭すれば良いのですが、免責の審尋は、代理人のいる場合でも本人が出頭するように裁判所が求めてくることが一般的です。

 

免責の審尋は、裁判官が破産者に免責を与えるべきかどうかを判断するために、破産者本人に直接質問をしたり、破産者自身の意見を聴いたりするための手続きです。
 
そのやり方は、裁判所によって異なりますが、1人1人の破産者を個別に審尋する個別方式の場合と、10人~30人ほどの破産者を同時に集めて順に審尋する集団審尋の場合がありますが、特に問題がないケースでは集団審尋、特に問題のあるケースでは個別審尋によって対応するところが多いと思われます。

免責の決定

裁判所によって異なりますが、免責の審尋から1週間(から1ヶ月程度)で免責の決定がくだされ、免責の可否が決定されます。免責が許可された場合には、そのことが免責決定から約2週間後に官報に掲載されます。官報掲載後2週間の間は、債権者からの異議の申し立てのための期間となり、この間に債権者からの異議がなければ、免責が確定します。免責が確定すれば、それにより当然復権となります。

 
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免責不許可となった場合

不幸にも免責不許可となってしまった場合には、免責不許可の決定が送達されたときから2週間以内にこれに異議を申し出ることができます。この異議が認められないときには、免責不許可が確定しますので、破産後に残った債務の返済は免除されませんので、破産前と同様に返済をしなければいけません。
 
しかし、実際には破産前から返済できていない債務ですから、破産以外の方法で債務整理をする他ありません。この場合、任意整理による方法は、返済額との関係で現実的ではないので、個人再生による債務整理を行うことになるでしょう。

 
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