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自己破産してもパソコン冷蔵庫テレビなどは差押え禁止!自由財産とは?

破産をすると何もかものすべての財産が差し押さえられるのではないかということを心配している人がいらっしゃいますが、実際にはそうではありません。特に個人破産の場合には、破産した後も生活をしていかなければなりませんから、破産をしても一定の財産は手元に残ることが保障されています
 
破産をしても破産者が自由に処分することのできる財産を自由財産といいますが、この記事では、この自由財産についてお話していきます。

 

筆者紹介島さん司法書士資格を持つライター 債務整理関連の法律や手続きに詳しい 小池現役看護師 自分の体に強いコンプレックスを感じ、各種二重整形を始め様々な整形術・ダイエットを行った経験を持つ

自由財産とされるもの

破産法によって、自由財産とすることが認められるものは、次の財産です。

  • 新得財産
  • 差押え禁止財産
  • 99万円以下の現金
  • 破産管財人によって破産財団から放棄された財産
  • 自由財産の拡張が認められた財産

 

 

破産手続き開始決定の前と後で取扱いが違います

破産は、破産者の財産を現金化(換価といいます)してそれを債権者に配当するための手続きですが、換価の対象となる財産は、「破産手続き開始決定のときに破産者に属していた財産」に限定されます。破産手続き決定よりも後に取得した財産は、新得財産とよばれますが、これについては、破産者は自由に処分することができます
 
したがって、たとえば、破産手続き開始決定後に支給された給与は、新得財産となりますから、債権者へ配当されることなく、破産者はこれを自由にすることができます。これが破産の場合の大原則です。

破産手続き開始決定前の財産であっても、自由財産とされるもの

破産は、「破産手続き開始決定のときに破産者が所有していた財産を現金化して債権者に配当する手続き」ですが、破産手続き開始決定のときに所有していた財産であっても、次の財産については、例外的に自由財産とされます。

 

  • 99万円以下の現金
  • 差押え禁止財産
  • 破産管財人によって破産財団から放棄された財産
  • 自由財産の拡張が認められた財産

 

99万円以下の現金

破産者が保有している99万円以下の現金は、自由財産となります。銀行等の預貯金は、債権であって金銭ではありませんから、この現金には含まれないことに注意が必要です。
 
ちなみに、民事執行(強制執行)の場合であっても、一定の現金の差押えが禁止されていますが、民事執行の場合には66万円以下の現金(標準的な世帯の2ヶ月分の生計費)の差押えが禁止されるだけですから、破産の場合の方が、保有が認められる現金は多くなっています。

差押えが禁止されている動産

映画やドラマなどでは、テレビや冷蔵庫、さらにはコップや歯ブラシのようなものまで、ありとあらゆる財産が差し押さえられてしまうシーンが描かれることがありますが、実際にそのようなことはありません。
 
通常の民事執行(強制執行)においても、一定の財産については差押えが禁止されていますが、これらについては破産の場合にも自由財産として取り扱われることになります。具体的には、下記のような財産(動産)がそれに該当します。

 

  1. 債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
  2. 債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料
  3. 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
  4. 債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具

 
これは法律の条文での表現を簡単にまとめたものなので、少しわかりづらいと思います。差押えについては、破産するとテレビやエアコンも差し押さえられて処分されてしまうといったようなことがよく言われたりしますが、これは間違いです。
 
東京地裁では、差押禁止動産目録というものを公開していますが、これによれば、冷蔵庫はその容量を問わず(1台までは)差押えが禁止されていますし、エアコンやテレビ(大きすぎるものは贅沢品として扱われるので別です)、パソコン(何台も持っているような場合は別です)も差押えしないものとされているだけでなく、「特に高価なもの」でない限り、動産(家財道具)は原則として差し押さえないという方針になっています。

破産管財人によって破産財団から放棄された財産

破産によって破産財団(債権者に配当するために破産者から取り上げた財産の集合体のことを破産財団とよんでいます)に組み込まれた財産であっても、それを現金化するとかえって赤字となるような財産や、現金化するために時間がかかりすぎる(その分だけ配当が遅れることで全体の不利益となる)ような財産については、破産管財人が裁判所の許可を得ることで、この財産を破産財団から除外する(債権者への配当に用いない)ことが認められています。
 
これを破産財団からの放棄とよんでいます。破産財団から放棄された財産は、自由財産となりますので、破産者(あなた)はこれを自由に処分することができます。

自由財産の拡張が認められた財産

ここまで説明してきたように、破産してもありとあらゆる財産が取り上げられるというわけではありません。破産は清算するための手続きではありますが、その清算は、破産者(あなた)の生活を建て直すためのものでもありますから、本当にありとあらゆる財産を取り上げたのでは、生活の建て直しなどできるはずがありません。

 

しかし、典型的には手持ちの現金がごく僅かしかなかったという場合が該当しますが、法律であらかじめ自由財産とされている財産だけでは、生活の維持・再建が難しいという場合もあり得ます。そのようなときには、自由財産を拡張することが認められています。

 

 

実際の運用としては、裁判所ごとに自由財産の拡張基準が定められていて、それに基づいて自由財産が拡張されるというのが一般的です。たとえば、東京地方裁判所の場合には、以下の財産などについて、手元の現金の額との合計が99万円を超えない範囲で、自由財産が拡張される取扱いをしています。

 

  • 残高が20万円以下の預貯金
  • 残高が20万円以下の生命保険解約返戻金
  • 処分見込額が20万円以下の自動車
  • 電話加入権
  • 支給見込額が160万円以下の退職金
  • 支給見込額が160万円以上の退職金の7/8の額
自由財産拡張型の少額管財

たとえば、破産者の生活や仕事のために処分見込額が20万円を超える自動車の保有を認めてもらいたい場合や、家族の介護・不要のために50万円の預貯金を自由財産としてもらいたいような場合には、裁判所の基準として認められている範囲を超えていますから、自由財産の拡張を申し出なければいけません。裁判所が自由財産の拡張を認めるためには、必ず破産管財人の意見を聞かなければなりませんので、自由財産を拡張してもらうために、所有財産が20万円以下で同時廃止となる個人破産の場合であっても、少額管財の利用を申し立てる場合があります。

 
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