破産をすることで、自分の仕事に影響がでるのではないかと心配される方は少なくありません。実際にも破産をすることで一部の職業については、一定期間影響がでることになります。この時期では破産によって影響がでるいくつかの職業についてお話していきます。
目次
破産を理由に解雇されることはありません
破産をするとそれを勤め先に知られたことで解雇されるのではないかということを不安に感じられる方は少なくありません。しかし、破産を理由に懲戒免職や解雇にすることは、と労働基準法で不当解雇とされていますので、会社がそのようなことをすることはできません。
破産したことが会社に知られることは、普通はありません
また、破産をしたことや免責を受けたことが勤め先に直接通知されるということは、原則としてありません。ただし、お勤め先が破産債権者となっている場合には、債権者一覧表に記載しなければなりませんから、破産手続きが開始されたことは通知されてしまいます。
また、破産を申し立てる際には、現在の時点での退職金の支給見込み額を計算する必要がありますので、その計算に際して会社に退職金を問い合わせることで、勘づかれるという可能性はないわけではありません(決定的な証拠にはなりません)。
資格や職業に制限がかかるケースが一部存在します
多くの職業との関係では、破産は何の影響も直接的に与えるものではありませんが、一部の職業では、破産者となることで、資格や職業の制限を受けてしまう場合があります。
そのうちで主なものを紹介すると、下記の通りになりますが、顧客のお金を扱う仕事がやはり多くなっています。ご自身の職業との関係で、ご不安なことがあるときには、破産手続きを依頼される弁護士や司法書士に直接相談されてみてください。
いわゆる士業の場合
弁護士や司法書士、公認会計士・税理士といった「○○士」という資格者のことを、よく「士業」とよんだりしますが、この士業は、破産者になることで、その登録が削除されることになります。したがって、破産者である間は、その資格者としての業務を行うことができません。
宅地建物取引士は、破産者となったときには30日以内に自己申告しなければなりませんが、このように届出義務がある場合もあります。ちなみに、医師・看護師や介護士には、破産による資格制限はありません。
生命保険募集人(生命保険外交員)
よく生保レディなどといわれたりする職業がこれにあたります。生命保険募集人は、内閣総理大臣の登録を受ける必要がありますが、「破産者で免責を得ない者」は登録を拒否されることになります。しかし、既に登録を受けている方の場合であれば、登録を取り消される可能性があるということにとどまります。上記の宅地建物取引士などの場合のように、破産者となったことを届け出る義務もありません。
警備員
警備員については、警備業法によって、破産者で復権を得ないものは、警備業を営んではいけないとされています。すなわち、警備員となる(新規登録)ことも、警備業務に従事することも制限されることになります。警備員は、顧客の財産を管理したりするわけですから、その分だけ厳しい対応となっているわけです。
資格制限・職業制限は一時的なものです
ここまでお話してきたような資格制限や職業制限は、一生ずっと続くというものではありません。資格制限や職業制限は、「破産者」となっている間に限定されますので、破産手続き開始決定のときから、復権するまでの間に限られます。破産者が復権する場合は、次の5つの場合となりますが、ほとんどのケースでは、免責許可の確定によって当然復権します。
- 免責許可の確定
- 破産手続きの廃止
- 個人再生の再生計画認可決定
- 破産手続き開始から10年が経過したとき
- すべての債務がなくなったとき
【関連記事】51.破産による制限の終了「復権」とは?復権される5つのパターン
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