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特定調停のやり方・具体的な手続き|特定調停③

この記事では、特定調停を申し立てる方法について説明していきます。債務整理について色々と調べていると「特定調停を使えば弁護士や司法書士に依頼しなくても債務整理ができる」というような説明を目にすることがよくあります。

 
たしかに、債務整理という裁判所の手続きを用いることで、弁護士や司法書士に頼らずとも、貸金業者との間で債務整理が可能となる場合はあります。しかし、それをご自身の力だけで行うことは、実際には大変なことです。

 

はじめに ――正しい知識を得ることがまずは大切です

専門家に依頼せずに特定調停を行おうというときには、関連する様々な制度や法律について正しい知識を得た上で、特定調停を申し立てることが、特定調停後に不測のトラブルを招かないために大切です。

 
【関連記事】 29.特定調停による債務整理の注意すべき7つのポイント|特定調停②

 

どのような場合に特定調停の利用を検討すべきでしょうか

特定調停は、裁判所を用いた任意整理であるということができます。任意整理は、通常は、弁護士や司法書士に依頼して行うことになりますが、その費用を捻出することが難しい場合などに、特定調停を利用することを検討される方が多いようです。

 

ここでは、まず、特定調停によって債務整理を行うことのメリットを整理しておきましょう。
 

  • 特定調停は費用が安い
  • 個人再生や自己破産に比べて要求される専門知識の程度が低い
  • 個人再生や自己破産よりも早く手続きが終わる
  • 特定調停を申し立てることで債権者からの強制執行を停止できる
  • 債権者との交渉は裁判所(調停委員)がしてくれる

 

特定調停を利用するメリットとしては、これらのうちでも費用が安いことと、裁判所を介させることで、貸金業者を債務整理のための交渉の場に引っ張り出すことが可能となる(弁護士や司法書士抜きで貸金業者と任意整理しようとしてもまず相手にされません)点が、特に重要でしょう。

 
次に、特定調停をあなた自身で申し立てるための手順について説明していきます。これを簡単にまとめると次のようになります。

 

    1. 返済の見通しについて検討する
    2. 特定調停を申し立てるために必要な書類を作成する
    3. 簡易裁判所に特定調停を申し立てる

 

返済の見通しについて検討する

特定調停による債務整理は、「債務を返済する」ために行われます。ですから、「特定調停後に確実に借金を返済できるのか?」ということについて、しっかりとした見通しをもった上で、特定調停を申し立てることがとても重要です。

 

特定調停においては、現在抱えている借金について、特定調停によって確定した返済額を3年ほどの期間をかけて(特段の事情が認められれば5年まで返済期間が延長されることがあります)返済することになります。

 

したがって、その3年間の返済を継続できるだけの収入があることが、特定調停によって債務整理をする前提となります。この収入の見通しがないままに特定調停を申し立てても、特定調停で債務整理をすることはできません。

 

ポイント特定調停で貸金業者等との和解が成立した場合には、その内容に基づいて返済をすることになります。しかし、特定調停成立後に返済が滞ると、貸金業者等は、訴訟等の手続きを経ることなく即座に、あなたの財産を差し押さえることが可能となります。そのような事態を避けるためにも、特定調停の申立て前に、今後の返済の見通しについて十分に検討しておくことが大切です。

 

【関連記事】 28.特定調停による債務整理の流れを専門家が詳しく解説|特定調停①

 

特定調停を申し立てるために必要な書類を作成する

特定調停を申し立てるためには、①特定調停申立書、②特定債務者であることを明らかにする資料、③関係権利者一覧表、④その他添付書類が必要となります。それぞれの書類は、裁判所の窓口で専用の用紙を入手できます。裁判所のホームページで書式をダウンロードできる場合もありますが、裁判所ごとに書式が違う場合もありますから注意が必要です。また、鉛筆で記入された書類は受理されませんので、ボールペンで記入するなり、パソコンでの入力をしなければなりません。

特定調停申立書

調停申立書には、①当事者(申立人と相手方)、②申立の趣旨、③紛争の争点について、それぞれの裁判所の書式にしたがって記載する必要があります。
 

申立人(あなた) 住所・氏名(現在ものと契約時のものが違うときには契約時のものも)、電話・FAX番号。
※裁判所からの送付物を住所とは異なる場所へ送付することを希望する際には、送達場所の住所も記入します。
相手方(貸金業者等) 本店所在地(住所)、会社名、代表者名、電話・FAX番号
※相手方が法人である場合には、現在事項全部証明書又は代表者事項証明書等(法務局で取得します)の記載に沿って記入します。
申立ての趣旨 「債務額を確定したうえ、債務支払い方法を協定したい」と書きます(多くの裁判所の書式ではすでに記載されています)
紛争の争点 債務の種類(借受金、立替金や保証債務など)と契約の状況(契約日や残元金)を記入します。

 
この調停申立書は、特定調停の相手方(貸金業者等)ごとに2部ずつ提出しなければなりません。たとえば、2社の貸金業者との特定調停を申し立てる際には、2×2の4部必要となるということです。この2部というのは、裁判所と相手方(貸金業者等)の分ですので、ご自身の控えもさらに用意しておいた方が良いでしょう。

特定債務者であることを明らかにする資料

東京簡易裁判所の場合には、「特定債務者の資料等」という書式がこれに該当します。これは、「あなたが特定調停を利用する資格のある者」であることを明らかにするための書類で、「いま借金を抱えていてそれが将来返せないことが確実な状況になる可能性がある」ことを明らかしなければならないのです。

このように条文に基づいて制度を説明すると少し難しくなりますが、実際には、書式に定められた項目を記入するだけです。
 
この書類で記入すべき項目は個人の申立ての場合には、次の通りです。
 

申立人の生活状況 申立人の職業(業種・担当)、勤務先、勤続期間、手取り月収、給料日を記入します
申立人の資産・負債 土地・建物・自動車・預貯金・保険(解約返戻金有りのもの)・株式などの資産の有無を記入します。
負債については、申立書の通りと既に記載されている書式がほとんどです。
家族の状況 申立人と生計を同じくする家族の職業や月収を申告します
その他返済額について参考となる事項 別居している家族を援助する必要がある場合などの特段の事情があれば、それを記入します
返済についての希望 毎月の返済可能額を記入します

 

関係権利者一覧表

裁判所に備えられている書式にしたがって、債権者の氏名や名称、債務の借入日、当初の借入金額、現在の残高を債権者ごとに整理した一覧表を作成します。また、それらの債務についての抵当権や保証人の有無についても記載します。

その他添付書類

その他の添付書類としては、当事者の資格証明が特に重要です。特定調停は法人である貸金業者を相手とすることが一般的だと思いますが、法人が相手方である場合には、その法人の本店所在地、名称および代表者名が表示されている「現在事項全部証明書」または、「代表者事項証明書」のいずれかを法務局で取得した上で、特定調停を申し立てる際に提出しなければなりません。
 
なお、特定調停の申立人(あなた)が法人である場合もこれと同様の書類を提出する必要があります。ケースによっては、これら資格証明の提出が省略できる場合もありますから、簡易裁判所に問い合わせてみると良いでしょう。

簡易裁判所に特定調停を申し立てる

特定調停の申立てに必要な書類が作成できたら、いよいよ簡易裁判所に特定調停を申し立てます。ただ、これにもいくつかのルールがあります。

管轄裁判所

特定調停は簡易裁判所で実施される手続きですが、たとえば債務者(あなた)の家から最も近い簡易裁判所に申し立てて良いのかといえば、そうではありません。申し立てをする簡易裁判所は「相手方の住所(法人の場合は所在地)」によって決まることになります。

 

たとえば千葉県にお住まいの方が東京を所在とする貸金業者との特定調停を申し立てるのは、千葉の簡易裁判所ではなく、東京の簡易裁判所ということになります。また、相手方との取引の契約の時点で争いとなったときにどこの裁判所で争うかを事前に定めている場合もあります(貸金業者との契約書のほとんどにはこれに該当する契約条項があります)。

申立手数料と手続費用の納付

特定調停を申し立てる際には、これとあわせて申立手数料と手続費用を納付する必要があります。申立手数料というのは、特定調停の利用料金で、これは収入印紙を申立書に貼付することで納付します。手続費用は、必要な書類と裁判所から郵送する際の費用で、これは切手を予納することになります。

 

申立手数料は、相手方1社(人)につき、500円の収入印紙が必要となります。たとえば、相手方が4社のときであれば、500円の収入印紙を4組分用意する必要があります。ただし、相手方1社(人)に対する債務額元本が166万6666円を超えるときには追納の必要が生じる必要がありますので、特に事業者が特定調停を申し立てる際には注意が必要ですから、債務額元本が大きいときには、簡易裁判所の窓口にあらかじめ問い合わせしておいた方がよいでしょう。

切手の納付方法は、裁判所によって異なります

手続費用(予納郵券とよぶこともあります)は、郵便切手で実費を予納することになりますが、これは裁判所ごとに取り扱いが異なります(切手の種類・枚数の指定があります)ので、特定調停を申し立てる簡易裁判所に直接問い合わせてください。なお、東京簡易裁判所の場合であれば、相手方1社(人)につき、420円分(82円切手5枚、10円切手1枚)が必要となります。
 
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