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個人再生すると滞納している家賃や光熱費はどうなるのか?

個人再生は、「借金が減額」されるので、魅力的な債務整理の方法です。しかし、個人再生は、「自己破産」とは違い、「再生計画に基づく3年間の返済」を完済しなければ、免責されません。

その3年の間も生活に必要な支払いが発生します。この記事では、個人再生した場合の光熱費や家賃の支払いについて、説明していきます。

個人再生の原則は「再生計画以外の返済は禁止」

個人再生では、「再生計画に従った返済以外の返済が禁止」されます(民事再生法85条1項)。そうでなければ、「特定の債権者にだけ返済する」ことが可能となるからです。

また、個人再生に届け出られなかった債務は、再生計画が終了するまで支払いが猶予されます(これを「債権の劣後化」といいます)。

個人再生前に滞納がない場合は通常通り

個人再生前に「水道光熱費・税金や家賃の滞納がない」場合であれば、全く問題ありません。水道光熱費やネット料金・携帯・スマホ料金は、法律上「継続的双務契約」とされています。継続的双務契約は、「共益債権」となり、その都度支払うことになります(民事再生法49条4項)。

税金や国民健康保険・年金の支払いも同様です。また、「養育費の支払い」や「従業員がいる場合の給料の支払い」も同様にその都度支払う必要があります。

滞納がある場合の取扱い

滞納がある場合には、「何を滞納しているか」によって、取扱いが異なってきます。特に、「税金・保険料」「家賃」の支払いに滞納がある場合には注意が必要です。

滞納税金等の取扱い

「税金」、「国民健康保険料」、「年金」、「社会保険料」は、個人再生しても免除されません。自己破産しても免除されない債務は、個人再生でも免除されません。

これらの「公租公課」は、個人再生では「一般優先債権」として取り扱われます。一般優先債権は、「再生手続によらないで、随時弁済する」と定められています(民事再生法122条2項)。なお、返済の優先順位は、国税が最も高く、次いで地方税、保険料と続きます。

公租公課には、法律で「強制徴収権」が認められています。これを「滞納処分」といいます。要するに、個人再生の申立てをしていても、国や地方自治体は「公租公課の徴収のために差押え」できるのです。

滞納状況がひどい場合

公租公課の滞納状況がひどい(既に滞納処分されている)ときには、「再生計画は履行不可能」と判断される可能性もあります。したがって、滞納税金等があるときには、個人再生の申立てに先だって支払っておいた方がよいでしょう。

個人再生の申立ては、弁護士への依頼後2ヶ月程度の準備期間があることが一般的です。弁護士への依頼によって、消費者金融等への返済は止まりますので、その間に滞納税金の問題を処理してしまうのがよいでしょう。

ポイント

なお、個人事業主の方で従業員がいる場合には、「未払い賃金」は、公租公課と同様の一般優先債権となるので、減額されません。

滞納光熱費の取扱い

水道などのライフライン契約は、仮に滞納分したまま個人再生しても供給を停止されることはありません。

民事再生法50条1項が次のように定めているからです。

「再生債務者に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、再生手続開始の申立て前の給付に係る再生債権について弁済がないことを理由としては、再生手続開始後は、その義務の履行を拒むことができない。」

しかし、ライフライン契約の滞納分については、直近6ヶ月分については、民法310条で先取特権が認められています。先取特権とは、わかりやすくいえば、「他の債権者よりも優先的に回収できる(先に返済を受け取ることのできる)特権」です。

したがって、直近6ヶ月分の滞納額については、個人再生しても免除されません。

なお、「個人再生申立て」から「再生手続き開始」までの光熱費は、共益債権となります(民事再生法50条2項)。したがって、その都度支払う必要があります。

ポイント

ネットの回線契約や携帯・スマホ利用料は、「継続する分については随時弁済」ですが、滞納分については、「通常の再生債権扱い」となる点で注意が必要です(滞納があれば解約される可能性があります)。この場合の対処法は次の滞納家賃のケースを参考にしてください。

滞納家賃の取扱い

家賃については、「個人再生申立て後」の家賃は、共益債権となります。したがって、随時に支払う必要があります。先に、お話したように、「個人再生申立て前に家賃の滞納がない」場合には、個人再生をしても、それまで何も変わらず通常通りに家賃を支払っていくことになります。

個人再生であれば、「家賃の支払いが原因」で借金の返済ができなくなるということは、基本的にはないはずです。なぜなら、個人再生前よりも「借金の返済額は減ります」し、そもそも家賃(生活生計費)が高すぎるケースでは、収入不足と判断され個人再生が認可されない可能性が高いからです。

問題は、「個人再生申立て前に家賃の滞納がある」ケースです。「個人再生申立て前の滞納家賃」は次の取扱いを受けます。

  • 「個人再生前の滞納家賃」は「再生債権」となる
  • 「再生債権」は「減額」される
  • 「再生債権」は再生計画以外で「弁済できない」

具体例

具体例で説明すれば、次のようになります。消費者金融やカード会社からの借金が140万円あり、さらに家賃の滞納が2ヶ月分で10万円あったとします。この場合、個人再生での最低弁済基準額は「100万円」なので、すべての借金が67%にカットされます。

10万円の滞納家賃は、67,000円の再生債権となります。そして、再生債権は、原則3年間の分割払いで「すべての債権者に等しく」返済されます。この場合、毎月の返済額は、約28,000円なので、滞納家賃の返済に充てられる額は、毎月2,000円弱でしかありません。

なお、滞納家賃をこの再生計画とは別に返済することは、「弁済禁止規定」に違反します。

したがって、個人再生前の滞納家賃は、「減額され」かつ「3年間は滞納が解消しない」ことになります。再生計画終了後に不足している滞納分を支払うことは可能ですが、家主の理解があれば待ってもらえません。したがって、「再生前に滞納家賃があれば解約・退去」となる可能性が高いです。

滞納家賃は第三者弁済で解決する

個人再生前の滞納家賃は、次の3つの方法で解決することが考えられます。

  • 自分で任意弁済する
  • 「敷金を積み増し」する
  • 家族等の第三者に支払ってもらう(第三者弁済)

しかし、自分で任意返済するときは、次の点に注意が必要です。

  • 「個人再生開始後」の任意弁済は「弁済禁止規定」に抵触する
  • 「危機時期後」の任意弁済は「偏頗弁済」にあたる可能性がある
  • 「家賃の積み増し」は「任意弁済」と同じ扱いを受ける

まず、「個人再生が開始された後」に個人再生前の滞納家賃を任意に支払うことは、「弁済禁止規定」に抵触します。任意弁済禁止に違反すれば再生計画不認可(認可後であれば取消し)の理由となります。

「危機時期後」の任意弁済は、「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と評価される可能性が高いです。危機時期というのは、たとえば「弁護士・司法書士に債務整理を依頼した後」の段階のように、「もはら借金を完済できないことが明白な時期」をいいます。個人再生では「偏頗弁済した額」は「清算価値」に上積みして算入しなければなりません(その分個人再生で返済する借金の額が増えます)。

なお、個人再生における偏頗弁済の取扱いについては、下記の記事でも触れています。

敷金は「滞納家賃と相殺」されます。したがって、「家賃を増額する(積み増す)」ことで、滞納家賃を実質ゼロにすることは可能です。しかし、「敷金の積み増し」は、「任意弁済」と同じ扱いとなります。

つまり、「個人再生開始後の敷金積み増し」は弁済禁止に抵触し、「危機時期後の敷金積み増し」は偏頗弁済となります。

滞納家賃の支払いを「自分で行うこと」は、「弁済禁止」、「偏頗弁済」といった禁止事項との抵触を回避できません。これに対して、家族や親戚が代わりに滞納家賃を支払うこと(第三者弁済)は、全く問題がありません。

例外的に弁済が許可される可能性もある

滞納額が「少額」で、「早期に弁済しなければ事業の継続に著しい支障を来すとき」には、例外的に再生計画外での弁済が許可される場合があります(民事再生法85条5項)。典型的には、個人事業主が事務所の家賃滞納が該当します。

独自の判断をせずに、弁護士・司法書士に相談しましょう

個人再生前に、公共料金や家賃に滞納があるケースは、個人再生前の対応が非常に重要です。しかし、ここまでお話してきたように、「再生申し立て前」の対応には、法律的に難しいことが少なくありません。

なお、携帯・スマホ料金の滞納も家賃と同様に扱われます。住まいの維持はもちろんですが、携帯・スマホの維持もいまの生活では必要不可欠です。弁護士・司法書士とよく相談した上で、正しく対応することが大切です。



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