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作者別: 管理人

【都道府県一覧】全国エリア別 債務整理に強い弁護士・司法書士

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「借金・ローン・クレカの審査の仕組み」どのように審査するのか?

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ローンやクレジットカードの申込みには、「審査」があります。

クレジットカードの「クレジット」とは「信用」という意味です。要するに、「あなたにどれだけの信用(お金を貸しても返してもらえる信用)」があるかを判断するのが、審査です。「ブラックリスト」に載れば「借金できない」、「カードが作れない」ということは、多くの方が知っていると思います。

しかし、審査はブラックリストに載っているかどうかだけではありません。この記事では、ローンやカードは何を基準に審査しているのか?ということについて説明していきます。

審査の基本的な仕組み

ローンやクレジットカードの審査は、次の要素で行われます。

  • スコアリング
  • 信用情報(ブラック情報・クレヒス)
  • 担当者の判断

融資(限度)額や貸付利率は、「貸し倒れリスク」に応じて決められることが一般的ですが、この貸し倒れリスクを「機械的に点数化」することをスコアリングとよんでいます。

スコアリングは、申込時に申告したあなたの情報に基づいて、機械的に点数化されるものです。たとえば、職業が公務員なら○点、持ち家有りなら×点という具合になります。

信用情報の照会は、よくいわれる「ブラックリスト」の問題です。ブラック情報だけでなく、過去の取引記録が調査されます。

以上をふまえて、審査担当者が最終的な決済をします。

以下では、それぞれについてお話していきます。

スコアリング

属性評価とか属性審査ということもあります。申込み情報をもとに「あなたがきちんと返済できるかどうか」を判定する審査です。具体的には、次の項目が点数化されます。

  • 職業
  • 年収
  • 勤続年数
  • 家族構成
  • 持ち家の有無
  • 居住年数
  • 健康保険の種類
  • 銀行口座の種類
  • クレジットカードの有無
  • 他社での借入の件数と金額

職業・年収について

職業については、「公務員」が最も高評価となります。やはり収入が安定していることや、「公務員は世間体を気にする人が多い」ため「あまり延滞せず」、「自己破産する人も少ない」からです。このように、スコアリングは統計的な観点から点数化されるものです。

ついで、弁護士等の専門職、大企業、中小企業、自営業、パート・アルバイトと続いていきます。当然無職は最も低い評価となります。

正社員でも「離職率の高い職業」は、低い評価となります。たとえば介護職やパチンコ店の店員・ホステス等の風俗店店員は、属性評価は高くありません。

年収については、当然高収入の方が高得点になります。200万円未満の方はかなり点数が低くなります。

勤続年数も当然長い方が高評価です。審査の厳しい銀行は、最低でも1年以上の勤続年数は欲しいところです。

生活環境など

独身よりも同居家族がいた方が点数は高くなります。親と同居が最も点数が高いです。万が一のときには、親が肩代わりしてくる可能性が高いためです。

住まいについては、ローン完済の持ち家が最も高得点となります。賃貸よりも社宅・官舎の方が、「夜逃げリスクが低い」ので点数は上です。居住年数も当然長い方が点数は上です。

年齢については、有職者であれば、一般的に年齢が高いほど高収入ですから点数は高くなります。

健康保険の種類

意外かも知れませんが、健康保険の種類はかなり重要です。なぜなら健康保険の種類で職業が推測できるからです。最も点数が高いのは「共済組合」です。中でも、「公務員共済無組合健康保険証」が最も点数が高くなります。国民健康保険は最も低評価です。

銀行口座・クレジットカード・他社借入

銀行口座

銀行口座には、「当座預金口座」と「普通預金口座」があります。当座預金口座は、事業用の決済で利用される口座です。当座預金の方が普通預金よりも高得点となります。

また、銀行審査の場合には、「その銀行の口座(当行口座)」があった方が点数は高くなります。当行口座があれば、万が一のときに、「預金と相殺して回収する」ことができるからです。

クレジットカード

クレジットカードについては、クレジットカードを持っている方の方が、クレジットカードがない方よりも点数は高くなります。クレジットカードがあるということは「既に他のカード会社の審査に通った」ということですから評価が高いのです。

逆に「高収入でもクレジットカードが1枚もない」という方は、審査に落ちることがあります。

借入

他社借入は、借入件数・金額が多いほど点数が低くなります。4社以上から借入がある場合には、たいてい審査に落ちます。

借入件数・金額は、この後お話するように、必ず照会されます。したがって「ウソの申告」は絶対に避けるべきです。ウソは必ずバレますし、審査担当者の心証を悪くするだけです。

信用情報の照会

信用情報

信用情報については、①指定信用情報機関の情報、②社内情報の2つのルートで調査をします。

ブラック情報については当然ですが、過去の入金状況(クレジットヒストリー)も非常に重視されます。

指定信用情報は、日本信用情報機構(JICC)、CIC、全国銀行個人情報センターの3つがあります。JICCは消費者金融系、CICはクレジットカード系、全銀情は銀行系というのが一応の目安ですが、消費者金融のほとんどはCICにも加盟しているので、一般的にはCICが最も重要といえます。

社内情報

社内情報は、社内情報は、それぞれの金融機関が独自に保有している情報です。たとえば、10年以上前の情報は、指定信用情報機構には残っていません。しかし、社内情報は長期間保管されていることが一般的ですから、より細かく調査することができます。

したがって、過去に重大な事故を起こした金融機関では、「社内ブラック」の扱いとなり、二度と取引ができなくなります。

逆にいえば、「過去に優良な取引」をしていれば、プラス要素になることもあります。

これらの調査で、「長期の延滞」、「自己破産」、「多重申込み」のいわゆる「ブラック情報」が判明すれば、基本的に「即落ち」となります。

なお、「ブラック情報」については、下記の記事で詳しく説明しています。

入金状況(クレジットヒストリー)

ブラック情報と並んで非常に重要なのが「入金状況」です。「ブラック情報」がなくても「審査落ち」することがあります。その場合の原因は、先に説明した「スコアリングが悪い」か「クレヒスに問題がある」場合のどちらかです。

指定信用情報機関では、過去2年分のクレヒスを照会することができます。社内情報は、それよりもさらに過去にさかのぼってクレヒスと確認することができます。

入金状況としては、次の情報が記号で登録されています。「 」の中がその記号です。

  • 請求額どおりの入金「$」
  • 顧客の都合で入金がなかった「A」
  • 請求もなく、入金もなかった「-」
  • 顧客の都合以外の理由で入金がなかった「B」
  • 入金されなかったが原因不明「C」
  • 請求額の一部入金「P」
  • 顧客以外からの入金(第三者弁済等)「R」
  • 情報なし(クレジットカードの利用なし)「 」

指定信用情報機関に照会すると、たとえば、次のような情報が出てきます。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

これは、請求のあった月はすべて支払えていますから、とても良好なケースです。

下記はそれとは逆に、「延滞が多い」ので「悪いクレヒス」の例です。支払いが1日でも遅れるとAが付くといわれますので、注意が必要です。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
A A A P A

最後に、このケースも「スーパーホワイト」とよばれる「良くない例」です。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
                       

スーパーホワイトは、「全く利用がない」ケースですから、「自己破産」や「債務整理」あるいは「強制解約」などがあったことが疑われるのです。つまり、「利用していない」のではなく、「利用できなかった事情がある」と推測されるということです。

先に、「クレジットカードを1枚も持っていない」と審査に落ちやすいと説明しましたが、それはスーパーホワイトと同様の理由です。ですから、「全く利用がない」よりも「利用があってきちんと返済している」方が良い評価になります。

担当者の判断

属性評価や信用情報に問題がなければ、在籍確認となります。一般的には「在籍確認」までいけば、「審査には通る」という方向です。「審査落ち」する大半は在籍確認の前に結論がでています。

それでも在籍確認するのは、「在籍確認したら退職していた」というケースがやはりあるということのようです。

在籍確認でも問題がなければ、最後は「人間の判断」で最終的に決済されます。大手の金融機関であれば、当然「審査担当者」もたくさんいますので、「担当者Aなら審査に通った」けど「担当者Bでは審査に落ちる」ということはあります。

最後は、「審査担当者の経験」に基づいて判断されます。また金融機関には、支店ごとの「融資額ノルマ」が必ずあります。たとえば「ノルマに達していない月」であれば、「多少審査は甘くなる」ということは、現実的にあるようです。

特に、中小の貸金業者は、「ノルマ未達成」は「赤字」にもつながりますから、リスクを覚悟で融資するということもなくはありません。

ウソは必ずバレます。「もう借りられない」ときには債務整理しましょう

借金やカードの審査に興味を持たれた方は、「借金の返済」に悩んでいる方が多いと思います。「借金返済のための借金」は、多くの場合悲劇的な結果となります。「ウソの申告」は審査で必ずバレますし、「借金できない」ことは、「経済破綻」を回避するためにも実は大切なことです。

「返せないことがわかっていて借金すること」は、たとえば自己破産した場合にも不利な扱いを受けることすらあります。

借金の問題は、傷が浅いうちであれば、ほとんどデメリットなく解決することができます。また、手元にお金がないという方でも多くの方が「弁護士・司法書士に依頼」して、債務整理を成功させています。無料でも相談できる弁護士・司法書士はたくさんいますので、「無理な借金」をしてしまうまえに、一度相談してみてください。

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過払い金請求の論点「取引分断」とは何か?専門家が解説

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過払い金返還請求が認められるようになったことで、消費者金融の体力は大幅に削られました。消費者金融最大手だった「武富士」が過払い金の支払いが原因で倒産したのは、有名な話です。

以前に比べ過払い金の返還を求める訴訟は減っていますが、今でもなお過払い金のある方は大勢います。

他方で、消費者金融は、規制が強化されたため収益は下がっています。そのため、「あの手この手」で過払い金の支払いを阻止・減額しようと画策してきます。そのため、過払い金返還請求が訴訟まで発展することも決して珍しくありません。

これからお話する「取引の分断」は、過払い金返還請求における代表的な論点です。

非常に難しい問題ですので、特に重要なポイントにしぼって説明することにします。

「取引の分断」とは何か?

消費者金融や信販会社のカードローンは、「借りて」、「返して」、「また借りる」を繰り返す方が少なくありません。

最初に借りた借金を「返しきる前」に、追加の借入をする場合であれば、取引の分断は問題となりません。どんなに長期間の取引になったとしても、「完済していなければ、取引が終了しているはずがない」からです。

しかし、「最初の借金(第1取引)」を一度完済して、その後また「借入をした(第2取引)」というケースでは、「過払い金の算出方法」に争いが起こります。

債務者(過払い金を請求する側)、債権者(過払い金を支払う側)共に、有利な計算方法を主張しあうことになるのです。

一連計算と個別計算

第1取引、第2取引のいずれもが「グレーゾーン金利」で貸し付けられていた場合には、どちらの取引でも「過払い金」が発生します。

第1取引で発生した過払い金を「第2取引に充当して過払い金を算出する方法」を「一連計算」とよびます。

これに対して、第1取引の過払い金を第2取引に充当せずに、「別々に過払い金を算出する方法」を「個別計算」とよびます。一連計算の方が個別計算よりも過払い金が多くなります

たとえば、第1取引が長期間にわたる場合には、第1取引の時点で、「返金してもらえるほどの過払い金」が発生している可能性があります。第1取引で生じた過払い金を第2取引に充当すれば、第2取引で発生する過払い金の額も当然に大きくなります。

他方、個別方式であれば、過払い金の額が少なくなるだけでなく、消滅時効もそれぞれの取引ごとに考えるので、過去の取引の過払い金については「消滅時効」を主張しやすくなります。なお、「過払い金の時効」については、下記の記事で詳しく説明しています。

したがって、貸金業者は、「過払い金の支払額を減らす(なくす)ため」に個別計算を主張してくることが多いのです。

取引分断と基本契約との関係

「一連計算」を行うためには、「第2取引に第1取引の過払い金を充当する合意(充当合意といいます)」が必要であるとされています。

ただし、この合意は契約書等による「明示の合意」ではなく、充当合意があったと解釈できる合理的根拠があれば良いとされています。実際の訴訟でも、「契約の実質」によって「一連計算と個別計算のいずれを採用するか」が決められています。

判断基準のカギは「基本契約の数」

「取引の分断」があったかどうかの判断基準は、「基本契約の個数によって決まる」のが、基本的な考え方です。

基本契約とは、貸金業者から初めて借り入れる際に締結する基本的な契約のことです。「消費者金融から30万円借りるときの契約」は、「30万円を借りる契約」だと理解されている方が多いかもしれませんが、実は違います。

消費者金融との契約は、「借入限度額の中で繰り返し借りられる」という契約になっていることが一般的です。

契約書を確認すれば「借入限度額の範囲内で繰り返し負担する金銭消費貸借債務」というような文言があるはずです。

したがって、貸金業者との契約は、「完済=終了」とは言えないのです。たとえば、完済後も「同じカード」で再度借金できるのは、「契約が終了していない」からなのです。確実に契約を終了(解約)するためには、貸金業者に解約する旨を通知して、契約書を返還してもらう必要があります。

基本契約が1つであれば「一連計算」が原則

基本契約が1つであれば、「取引の分断」は認められず「一連計算」によるのが原則です。たとえば、上でも挙げた例ですが、「完済しても、カードはそのままで、新たな契約をせずにそのまま次の借入をした場合」であれば、「取引に分断はない」と考えます。

しかし、完済後にたとえば3年の取引のない「空白期間」があったような場合には、基本契約が1つであっても、「一連計算が認められなかった(取引の分断があった)」というケースもあるので注意が必要です。

実際にも、「空白期間が1年を超えるケース」では、基本契約が1つであっても貸金業者の多くが「個別計算」を主張してきます。また、過払い金の支払いに厳しい対応をとる貸金業者は、空白期間の有無を問わず「過払い金の額が大きい」ときには、「個別計算」を主張してきます。

基本契約が複数ある場合でも「一連計算」が認められるケースがある

基本契約が複数あるケースでは、「充当合意はない」のが原則です。すなわち、第1取引の過払い金は、第2取引に充当されません。

しかし、基本契約が複数あるときでも、「充当合意があると認められる特段の事情」があるときには、「一連計算」が採用される余地があります。

結局は契約(取引)の実態で判断される

結局のところ、「取引の分断」は、「基本契約の数(契約の形式)」は判断の手がかりに過ぎず、「契約(取引)の実質」で判断されるというのが、今の裁判例の流れです。

最高裁判所(平成20年1月18日判決・最高裁民事判例集62巻1号28頁)は、次の7項目を取引分断の判断基準として示しています。

  1. 第1取引(契約)に基づく貸付と返済が継続して行われた期間の長さ
  2. 第1取引の最後の返済から第2取引の最初の貸付までの期間
  3. 第1取引の契約書が返還されているか否か
  4. カードが発行されている場合には、失効手続きがとられたか否か
  5. 空白期間に貸主と借主にやりとりがあったか否か
  6. 第2取引の契約が締結された経緯
  7. 第1取引と第2取引で契約条件に違うがあるか否か

以上の要素を総合的に判断して、第1取引と第2取引が「実質的に同一」と評価できれば、基本契約の数を問わず「一連計算」が採用される余地があります。

逆を言えば、基本契約が1つでも「実質として別の契約」であれば取引の分断が認められるということです。

たとえば、第1取引と第2取引とで違う契約書が交付されていたとしても、「空白期間にカード失効(契約終了)の案内すらなく」「第1取引のときに発行されたカードでそのまま借金でき」「利息も変わらない」ケースでは、取引の分断はなかったと評価される可能性は高いといえます。

逆に、契約書が1つであっても、「完済後にカードの失効手続きが行われ、カードの再発行を受けて、第1取引とは違う利息で借り入れた」というようなケースでは、取引は分断していると評価される可能性が高いでしょう。

過払い金の返還請求は必ず弁護士・司法書士に依頼しましょう

ここまで「取引の分断」について説明してきました。いまでは、過払い金の返還は訴訟で争われることは珍しくありません。訴訟までもつれるほとんどのケースでは「取引の分断」が論点となります。

取引の分断は、かなり難しい法律論です。対応を間違えれば、「過払い金が減る」だけでなく、「もらえたはずの過払い金が消滅時効でなくなった」ということにもなりかねません。

ネットなどには「過払い金は弁護士・司法書士に依頼しなくても自分で請求できる」という情報もありますが、法律知識のない方が、貸金業者を相手に訴訟することは簡単ではありません

弁護士・司法書士に依頼した場合でも、報酬は過払い金から支払われます。手元のお金が出ていくわけではありません。確実に過払い金を返してもらうためには、弁護士・司法書士に依頼するのがベストの選択肢です。

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共働きの夫婦が増えていることを受けて、「ペアローン」で住宅を購入する人が増えています。ペアローンには、夫婦揃って所得税控除を受けられたり、融資可能額が増えたりと、メリットがあるためです。

住宅ローンを抱えた方が借金の返済に行き詰まった際には、「住宅ローン特則付きの個人再生」を利用することで、購入した自宅を手放すことなく、その他の借金を返済できます。しかし、個人再生手続きは、ペアローンの普及を想定してない法律です。そのため、ペアローンを組まれた方が個人再生を利用する際には注意が必要です。

なお、住宅ローン特則については、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

ペアローンについて確認しておきましょう

住宅ローンの組み方には、大きく次の3つがあります。

  • 1人(夫・妻のみ)で借り入れる
  • 夫婦の収入合算(連帯保証・連帯債務)で借り入れる
  • 夫婦がそれぞれ別々に借り入れる

ペアローンは、上記のうちの最後の形態をいいます。都市部の住宅を購入する際に、1人の収入だけでは希望額を借り入れられないケースなどで利用されます。

これと似た借入方法に、「収入合算」で借り入れる方法がありますが、法律的には全く違うものです。ペアローンでは、夫婦がそれぞれ別に「住宅ローンの契約」と「抵当権の設定」をします。ペアローンでは、下記のように不動産登記簿に2つの「抵当権設定」があります。

抵当権設定 平成○年
△号
債務者
抵当権設定 平成○年
×号
債務者

住宅ローン特則の原則ルール

住宅ローンを抱えた方が、返済に行き詰まったときには、「住宅ローン特則付きの個人再生」を利用することで、住宅を手放さずに借金を返済することができます。しかし、住宅ローン特則には、いくつかの利用条件があります(詳しくは、下記の記事をお読みください)。

住宅ローン特則の利用条件のうち、ペアローンとかかわるのが、.民事再生法198条1項ただし書きです。条文は、次のように書かれています(読みやすくするために括弧書きを省略しています)。

住宅資金貸付債権については、再生計画において、住宅資金特別条項を定めることができる。ただし、住宅の上に第53条第1項に規定する担保権が存するとき、又は住宅以外の不動産にも同号に規定する抵当権が設定されている場合において当該不動産の上に第53条第1項に規定する担保権で当該抵当権に後れるものが存するときは、この限りでない。

民事再生法53条1項が規定する担保権とは、「特別の先取特権」、「質権」、「抵当権」、「商事留置権」のことをいいます。

要するに、住宅ローン特則の対象となる不動産に、「再生債務者(申立人)の住宅ローン以外の抵当権」が設定されているときには、住宅ローン特則を利用できないのです。

冒頭で説明したように、ペアローンでは、「住宅ローン契約が2つあり、抵当権が2つ設定される」ことになります。したがって、「夫(妻)が個人再生する場合には、妻(夫)のローンの抵当権がある」ために、住宅ローン特則を利用できないのです。

なお、「収入合算」の場合には、契約は1つで抵当権も1つですから、民事再生法198条1項ただし書きは問題となりません

なぜ住宅ローン以外の担保が設定されていてはいけないのか?

担保権は「優先弁済権が認められている」非常に強力な権利です。担保権者は、自己破産や個人再生が開始されても、「優先して返済を受ける」ことができます。これを別除権といいます。

したがって、全ての債権者を対象としなければならない個人再生では、住宅ローン以外の担保権者がいたときに、その担保権実行(競売)を阻止できません。担保権実行が阻止できない以上、住宅は処分されますので、住宅ローン特則を利用させる意味がないということになります。

住宅ローン以外の担保権が設定されているケースの典型例は、「不動産担保ローンで借金をしている場合」です(下記の記事で詳しく説明しています)。民事再生法198条1項ただし書きの規定は、主として不動産担保ローン等を念頭においています。ペアローンは個人再生が立法されたときには、そもそも想定されていなかった問題なのです。

東京地方裁判所・大阪地方裁判所での運用

個人再生手続きは、バブル経済崩壊後に訪れた「住宅ローン危機」に対応するために立法された経緯があります。つまり、「住宅を手放さずに借金を返済させる」のが個人再生の目的といえるのです。

また、ペアローンは、住宅を買いやすく、住宅ローンを返済しやすくするための仕組みですから、ペアローンを利用すれば住宅ローンを利用できないというのは、困った結論になってしまいます。

そこで、東京地方裁判所大阪地方裁判所では、ペアローンの場合には、「夫婦が共に」個人再生を申し立てるのであれば、住宅ローン特則を利用可能とする運用をとっています。

東京地方裁判所・大阪地方裁判所での実務運用(ローカルルール)は、他の地方裁判所へも浸透していくことがほとんどです。しかし、法律の解釈としては「ペアローンでは住宅ローン特則は利用できない」のが原則です。

現時点で、必ずしも全ての裁判所で上記の運用が認められているわけではありません。お住まいの地域の裁判所の対応については、弁護士・司法書士に必ず確認してください。

単独申し立てでも可能な場合も

夫婦が共に個人再生を申し立てたとしても、「配偶者の片方には、住宅ローン以外の借金がないケース」では、個人再生の申立ては、「住宅ローン特則を利用するための形式にすぎない」ことになります。

住宅ローン以外に借金がないケースでも、「住宅ローン特則付きの個人再生」を利用することはできます。たとえば、「期限の利益の回復」や、「返済期間の延長」を目的に利用することがあります。しかし、「他に借金のない配偶者の住宅ローンはそのままで良い」というケースでは、手続きを実施する手間や費用が無駄となります。

そのため、東京地方裁判所・大阪地方裁判所では、「他に借金なし」・「住宅ローンそのまま」の場合には、配偶者の片方だけの申立てであっても住宅ローン特則を認めてくれることがあります。

ペアローンの個人再生は非常に複雑!必ず弁護士に相談しましょう

ペアローンでの住宅ローン特則の利用は、あくまでも「運用」に過ぎません。条文上は、「ペアローンでは住宅ローン特則を使えない」のが原則です。

したがって、法律知識のない方が、ご自身のケースについて独自に判断すべきではありません。現在では、「ペアローンでも住宅ローン特則を使えるようにする」という傾向になっていますが、「あなたのケースは違う」と言われる可能性もあるからです。

また、ペアローンを解消するには、「片方のローンの一括返済」、「1人名義での借り換え」、「連帯保証人を追加で設定する」といった選択肢がありますが、簡単なことではありませんし、時間がかかります。

借金の問題は処理に時間を要するほど深刻化します。できるだけ早く弁護士・司法書士に相談され、ベストの解決作を見つけることが重要です。

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借金の返済に行き詰まったときには、債務整理で解決するのが正しい解決方法です。返済のために新たに借金を重ねることは、解決の先送りでしかないことがほとんどです。ヤミ金に手を出してしまうようなことになれば、本当に深刻な問題となります。

しかし、債務整理は、法律知識のない方が1人で行うには難しいものです。「弁護士・司法書士に依頼したくてもお金がない」とあきらめている方もたくさんいるでしょう。いまでは、弁護士・司法書士費用の負担を軽減する方法がたくさん用意されています。多く弁護士・司法書士が「相談無料」「報酬分割払い」で対応しています。

それでも弁護士・司法書士費用が支払えないというときには、「法テラス(法律扶助)」を利用して援助してもらうことになります。そこで、今回は、債務整理の際に「法テラスを上手に使う方法」についてお話していきます。

法テラスとはどんなところ?

法テラスは、正式名称を「日本司法支援センター」といい、総合法律支援法という法律に基づいて設置された公的な機関です。

法テラスは、わかりやすくいえば、「法律問題についての総合案内所」です。

世の中には色んなトラブルや困りごとがありますが、「どこに相談に行けば良いのかわからない」ということが少なくありません。そのようなときに、法テラスに問い合わせることで、対応してくれる機関や窓口を紹介してもらえます。これを「情報提供業務」とよんでいます。

そのほかにも、法テラスでは、次のような業務を行っています。

  • 民事法律扶助業務
  • 司法過疎対策業務
  • 犯罪被害者支援業務
  • 国選弁護関連業務

このうち、借金の問題を解決する際によく利用されるのが、「民事法律扶助業務」です。また、借金の原因となる「生活苦」との関係では、「生活保護の受給に関する相談」も受け付けています。

民事法律扶助業務とは?

民事法律扶助は、「経済的に困っている方」が法的な困りごとを抱えた際に、資金面の支援をしてくれる仕組みです。具体的には、次の2つの業務を行っています。

  • 無料法律相談(1案件につき3回まで)
  • 弁護士・司法書士費用の立替え払い(代理援助・書類作成援助)

なお、民事法律扶助の対象は、「個人に限定」されるので、法人は扶助を受けられません。個人であれば、外国人(不法在留者以外)でも民事法律扶助を受けられます。

【関連リンク】 法テラス(法律扶助業務の案内)

民事法律扶助を利用するための条件

法テラスによる法律扶助を受けるためには、次の条件をみたしている必要があります。

  • 月収が「一定額以下」であること
  • 保有資産が「一定額以下」であること
  • 勝訴(和解や調停成立)の見込みがないとはいえない事件であること
  • 自己破産の場合には、免責される見込みがあること

具体的な利用条件は、年齢や居住地域・家族構成で変わります。たとえば、東京在住の単身者(住宅ローンなし)であれば、「月収200,200円以下」、「資産180万円以下」というのが、収入面での条件です。

法テラスホームページでは、利用の可否をシミュレートできるページもあるので、そちらで確認してみると良いでしょう。

また、任意整理が成功する見込みがない場合や、免責が得られない可能性の高いケースでは、法律扶助を受けられません。特に次のような場合には、注意が必要です。法テラスの申込み時には「債務の一覧表」が必要になるので、返済のない借金は必ずバレます。

  • 借りてから1度も返済していない借金を債務整理する場合
  • 氏名・年齢・生年月日等を偽って借金した場合
  • 悪質な財産隠しがある場合

法テラスに利用申込みをすると、「地方事務所」(法テラスは全国各地にあります)で審査が行われます。一般的には、2週間から1ヶ月程かかります。

法テラスへはどのように返済するのか

「利用条件を満たしている」ことが認められば、法テラスが費用の立替え払いをしてくれます。ただし、申込者が自分で依頼する弁護士・司法書士を見つけていない場合には、審査・援助決定後に、「依頼を受けてくれる弁護士・司法書士」を法テラスが募集することになります。

法テラスが立て替えた費用は、法テラスと契約してから2ヶ月後から返済(償還)をはじめます。返済のポイントをまとめると次のようになります。

  • 過払い金がある場合には、過払い金から弁護士費用や立替金の残額を支払う
  • 返済額は、毎月1万円ずつの分割が原則(経済状況が厳しい人は5,000円)
  • 返済は、口座引き落としが原則
  • 契約後も生活が困難なほどに経済的に苦しい場合には、返済の免除・猶予もある
  • 一括返済・まとめ払いも可能
生活保護受給者の場合

生活保護受給者の場合には、法テラスへの返済が免除されるケースがあります。生活保護の方の債務整理については、下記の記事で詳しく説明していますので、参考にしてください。

自分で法律扶助を申し込まない方がよい2つの理由

法律扶助の利用方法には、次の2つの方法があります。

  • 法テラスに自分で法律扶助を直接申し込む方法
  • 債務整理を依頼した弁護士・司法書士が法律扶助の利用を持ち込む方法

「法テラスが弁護士や司法書士を探してくれるのだから、自分で依頼しなくてもいいのでは?」と思った方もいるかもしれません。しかし、法テラスの利用は、「弁護士・司法書士をみつけてから」の方が断然に有利なのです。

以下では、弁護士・司法書士を見つけてから法律扶助の申込みをした方がよい2つの理由についてお話していきます。

理由その1 弁護士・司法書士がみつかるまで時間がかかる

借金で悩んでいる人の多くは、「債権者からの取立て」に苦しんでいます。「また電話がかかってくるのではないか」、「自宅や会社にこられたらどうしよう」という不安を抱えています。取立てが怖くて、「借金返済のための借金」をした結果、問題がより深刻になることも珍しくありません。

債務整理では、「1日も早く取立てのない生活」を取り戻すことが重要です。債務整理を弁護士・司法書士に依頼すれば、債権者は直接債務者(あなた)に連絡することを法律で禁止されます。債務整理は、「早く依頼すること」が一番大切なのです。債務整理に精通した弁護士・司法書士であれば、受任後即座に「受任通知」を債権者に送付します。

しかし、法テラスに直接依頼した場合には、「相談→審査→援助開始決定」という手続きを踏むことが原則です。そのため、弁護士・司法書士を自分で見つけた場合に比べて1ヶ月以上、債務整理(受任通知の送付)が遅くなるのです。その間にも借金の問題は深刻化していきます。

「審査に落ちる」ことや「弁護士が見つからない」ことも

法テラスの利用条件に詳しくない一般の方がいきなり法律扶助に申し込めば審査に落ちることもあります。その場合、「審査待ちの1ヶ月が無駄」になります。

また、借金が多額すぎるケースや、債権者の数が多すぎるケースでは、審査に通っても「受任してくれる弁護士・司法書士が見つからない」あるいは「見つかるまでに時間がかかる」こともあります。

弁護士・司法書士が決まるまでは、「取立ては止まらない」のです。

理由その2 弁護士・司法書士を選べない

弁護士・司法書士のすべてが「債務整理に精通」しているわけではありません。法テラスの利用を検討するほど困窮している方の借金問題は対応が難しいケースが少なくありません。したがって、やはり「債務整理に精通した」弁護士・司法書士に依頼したいものです。

しかし、「自分で法律扶助の申込みをした場合」には、受任してくれる弁護士・司法書士を選べません

法テラスの仕事を受任できる弁護士には、「スタッフ弁護士」と「契約弁護士」がいます。スタッフ弁護士は「法テラス地方事務所」に所属している弁護士で、契約弁護士は、法テラス地方事務所とは別の法律事務所に所属している弁護士です。

法律扶助の案件は、スタッフ弁護士が担当することが多いと思われますが、スタッフ弁護士は、弁護士登録から間もない若手が多いです。経験が浅くても優秀な弁護士はいますが、担当になった弁護士が優秀かどうかは、依頼してからでないとわからないのです。

スタッフ弁護士が既に他の依頼で受任できないケース等では、契約弁護士が受任することもあります。しかし、契約弁護士も必ずしも債務整理に精通しているかどうかは、やはり依頼してみないとわからないのです。

また、弁護士・司法書士とは相性もあります。債務整理は、あなたのこれからの人生を左右させる重要な出来事ですから、「自分で納得して」弁護士・司法書士を選ぶことをおすすめします。

法律扶助は「持ち込み方式」が正しい使い方

上でお話した2つのデメリットをすべて克服できる方法が「持ち込み方式」とよばれる法律扶助の使い方です。

「持ち込み方式」は、「依頼した弁護士・司法書士が法テラスの利用を取り次いでくれる」方法です。「契約弁護士(司法書士)」に債務整理を依頼すれば、法テラスに持ち込むことができます。

「債務整理を引き受ける」ことをアピールしている弁護士・司法書士であれば、ほとんどが法テラスと契約しています。心配な場合には、相談を申し込む際に弁護士・司法書士事務所に「法テラスへの持ち込みは可能ですか?」と問い合わせておくとよいでしょう。

持ち込み方式であれば、法テラスでの手続きも「相談を省略」して審査してもらうことが可能です。

さらに、持ち込み方式に対応できる弁護士・司法書士であれば、「法テラスからの立替え前」に、委任契約を締結して受任通知を送付してくれる可能性も高いです。なぜなら、事前に「審査に通る」ことを確認した上で、法テラスに持ち込むので、立替え払い前に債務整理に着手しても問題がないからです。

審査を待たずに「受任通知を送付できる」のは、非常に重要なことです。

法テラスを利用しなくても「債務整理の相談」のほとんどは無料です

借金の問題は「1人で抱え込む」ことが最もいけないことです。1人で悩み、途方に暮れているうちに借金はどんどん膨らみます。

法テラスに直接申し込むケースでは、受任してくれる弁護士が見つかるまで1人で借金と闘わなくてはいけなくなります。

今では、法テラスを利用しなくても、多くの弁護士・司法書士が「債務整理の相談」を「無料」で行っています。手元にお金がなくても、弁護士・司法書士に相談できるのです。

また、債務整理に精通している弁護士・司法書士であれば、「弁護士・司法書士の費用を払えないと思っている」依頼人の対応にも慣れています。費用面での不安も含めて、弁護士・司法書士に相談すれば、必ず良い対応方法をアドバイスしてくれます。

債務整理は「どの弁護士・司法書士に依頼するか」が非常に重要です。自分で探して納得できる、信頼できる弁護士・司法書士に債務整理を依頼しましょう。

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会社役員や社長など経営者が債務整理する際の注意点

会社役員や社長など経営者が債務整理する際の注意点

会社の役員でも借金に苦しむことは少なくありません。たとえば、中小企業の社長であれば会社借入の連帯保証人となっていることは珍しくありません。また、上場企業の役員であっても、社会的地位があることから他人の連帯保証人を頼まれることが少なくないでしょう。

会社役員が債務整理する際には、

  • 役員をクビになるのではないか?
  • 事業に影響がでるのではないか?

といったことが心配になります。

そこで今回は、役員の方が債務整理する際に、知っておきたいポイントについてお話します。

重要!

会社に関する法律は、運用が頻繁に変わります。古い情報に惑わされないよう、最新の情報を確認することが大切です。

会社形態によってルールが違います

現在の法律(会社法)では、会社は「株式会社」と「持分会社(合同会社・合資会社・合名会社)」に区分されます。会社法が2006(平成18)年に施行されたことによって有限会社法は廃止されたので、有限会社を新規設立できません。既存の有限会社は、「特例有限会社の解散登記」と「株式会社の設立登記」を経て株式会社になりますが、移行前の有限会社を「特例有限会社」とよびます。

株式会社(特例有限会社)の役員は「取締役」、持分会社の役員は、「社員」です。会社役員が債務整理する場合の注意点は会社の形態によっても違います。

取締役が債務整理する場合の注意点

まず株式会社の役員である取締役が債務整理する際の注意点についてお話します。

「破産者すると取締役になれない」は間違った情報です

現在の法律では、「破産者でも」取締役になれます。ネット上には、未だに会社法施行前の古い情報があるので注意が必要です。

確かに、以前の法律(会社法施行前の商法・有限会社法)では、破産者は取締役にはなれませんでした(商法254条)。しかし、このルールは、2006(平成18)年の会社法施行により廃止されました。商法254条は現在では削除されています。

以前のルールでも、「過去に破産した人」であっても、免責等の方法で「復権」すれば取締役に就任することは問題がありませんでした。現在の法律では、「免責確定(復権)前」であっても、取締役に就任できます。会社法によって大きく緩和されました。

「復権」については、こちらの記事をお読みください

なお、個人再生・特定調停・任意整理では、資格制限は一切ありません。

「資格制限はない」が「会社との契約が終了」します

取締役は「破産によって退任」することになります。これは、破産による資格制限ではなく、「自己破産によって「株式会社との契約が終了」するためです。簡単にまとめると次の通りになります。

  • 取締役と株式会社との関係は「委任契約」(会社法330条)
  • 委任契約は、契約当事者が「自己破産」すると終了する(民法653条3項)
  • 退任後の「再任」は法律上全く問題ない

退任後の再任は「免責前であっても問題ない」ことは、先にお話したとおりです。

なお、取締役の退任と再任にはそれぞれ登記の手続きが必要となります。退任の変更登記の際には、裁判所から送達される「破産開始決定書」が必要となります。したがって、取締役の破産は会社に通知する必要があります。

登記手続きの詳細については、司法書士などに相談してください。

取締役の再任手続き

取締役の再任は、株主総会で行います。株主総会の開催は、会社法のルールに従って株主に招集をかけなければなりません。

株式会社の形態 株主総会の招集方法
公開会社(取締役会設置) 取締役会による招集
総会の2週間前まで(定款での変更不可)
書面・メールでの通知(原則書面)
非公開会社(取締役会設置) 取締役会による招集
総会の1週間前まで(定款で変更不可)
書面・メールでの通知
非公開会社(取締役会非設置) 取締役による招集
総会の1週間前まで(定款で短縮可能)
書面・メールでの通知(口頭でも可能)

非公開会社であれば、再任は簡単

株式会社というと「大企業」をイメージされる方が少なくありません。しかし、実際の株式会社のほとんどは、小規模な「非公開会社(閉鎖会社)」です。たとえば、「株主が家族だけ」という非公開会社の場合であれば、「定款で予め定めておく」ことで、再任手続きを簡単にできます。

「家族だけが株主」というような「取締役会非設置株式会社」では、ごく簡単に株主総会を招集することも可能です。たとえば、株主である家族が集まっている時に「明日株主総会をする」と「口頭で伝える」だけで株主総会を招集できます。したがって、非公開会社であれば、最短で退任の翌日に再任することも可能です。

会社設立の際に、債務整理のことを念頭におくことは珍しいですが、株主総会を簡単に開けるというのは、債務整理以外場面でも大きなメリットになります。定款の定め方については、司法書士などに相談してください。

上場会社取締役は任意整理・個人再生

株主の多い株式会社であれば、株主総会への対応をしっかりする必要があります。また、株主の多い株式会社では、1人の取締役を再任するためだけに臨時株主総会を招集することは難しいこともあるでしょう。したがって、上場会社の取締役は、自己破産ではなく、任意整理や個人再生がすすめられます。

持分会社の社員の場合

会社法の分類では、会社には、株式会社のほかに「持分会社」があります。持分会社には、合同会社・合資会社・合名会社の3つがあります。

このうち合同会社は、有限会社に代わる新しい会社形態で、「新規起業」の場合によく選ばれています。有名企業では、アップルジャパンや西友が合同会社です。

持分会社の役員は「社員」です。この「社員」とは法律用語ですので、「従業員」とは異なります。会社法では、「会社に出資した者」を社員といいます。

株式会社は「出資」と「経営」が分離され、持分会社は「出資」と「経営」が一体となるところに大きな違いがあります(取締役は「出資者」である必要がありません)。

持分会社の社員は「破産で退社」します

持分会社の社員は、「破産」によって退社します。これは会社法607条1項5号で定められています。

しかし、「予め定款に定めておく」ことで、「社員が自己破産しても退社しない」ようにすることも可能です(会社法607条2項)。破産後の再任も問題ありませんが、出資金を確保しなければならない点で注意が必要です。復権後の再任は全く問題ありません。

なお、業務執行社員が退社した場合には、2週間以内に変更登記する必要があります(業務執行社員でない社員の退任には変更登記は不要です)。

出資金の取扱い

合同会社の社員が退社する際には、「出資金の払戻し」が問題となります。出資金の払戻しは、①会社に払い戻してもらう方法と、②他の社員に譲り受けてもらう方法とがあります。①では、官報公告が必要となることもありますので、②で処理する方が簡単です。債務整理を依頼する弁護士・司法書士と相談の上で対応すると良いでしょう。

「1人会社」のときには注意が必要

合同会社は、「個人事業主の法人成り」でもよく選ばれます。1人会社の合同会社の代表社員が自己破産した際には、合同会社の解散となるので注意が必要です。

  • 合同会社の社員は、破産手続き開始の決定によって退社する(会社法607条1項5号)
  • 1人会社の場合には、代表社員の自己破産により社員がいなくなる
  • 社員のいない合同会社は解散となる(会社法641条4項)

代表権のある役員の債務整理は会社の信用に悪影響を与えます

役員個人の債務整理が「会社のブラック情報」となることはありません。しかし、会社の代表者(代表取締役・代表社員)の債務整理は、「事実上」会社の信用に悪影響を与えます。

たとえば、「1人会社」や家族経営のような「小規模会社」に対する融資の際には、代表取締役・代表社員の信用情報が調査されるのが一般的です。したがって、次の期間には、金融機関から会社が融資を受けることはかなり難しくなります。

  • 任意整理・特定調停・個人再生から5年
  • 自己破産から7年

しかし、「2ヶ月以上の延滞」も「ブラック情報」ですから、延滞が続いている時点で、融資は難しくなります。債務整理によって借金がなくなれば、ブラック情報は時間の経過で必ず消去されます。

なお、代表権のない「ヒラ」役員の信用情報、会社の信用に影響を与えることはまずありません。また、官報にも掲載されない任意整理であれば、取引先に知られずに債務整理が可能です。

「任意整理」で処理するためにも早期対応が重要

取締役の資格制限が廃止されたといっても、会社役員の自己破産には大きなリスクがあることは変わりがありません。任意整理・個人再生であれば、破産の際に生じるリスクの多くは回避できます。

会社役員の方の借金問題は「金額が大きくなりがち」です。また中小企業の役員であれば、役員の経済危機は、会社の経営危機であることも少なくありません。そのため、問題を「1人で抱え込んだ」結果、「もはや破産しか選択肢がない」ということも珍しくありません。

借金の問題は早期対応が重要です。弁護士・司法書士に相談することで、必ず良い解決策が見つかります。

生活保護受給者が債務整理する際の注意点

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自己破産すると、いつまで、どのように旅行に行けなくなるのか?

自己破産すると、いつまで、どのように旅行に行けなくなるのか?

「自己破産するとパスポートに記載される」、「自己破産すると旅行できなくなる」ということを気にして、自己破産を躊躇する方がいるようです。

確かに、自己破産すると旅行や転居を制限されることがあります。しかし、それは「一時的」なものに過ぎません。実際には、ちょっとした旅行であれば国内外問わず全く問題ないといえるでしょう。

この記事では、破産手続きと旅行との関係について説明していきます。

自己破産したことがパスポートに記載されることはない

まず、「自己破産」したことは、「パスポートには記載されません」。破産はパスポートの発給に全く影響を与えません。

しかし、永住・就労ビザ・就学といったビザの発給には、自己破産は関係してきます。ビザの発給条件には、素行要件や生計要件があります。ビザ申請直前に自己破産すると、この要件に抵触します。自己破産が過去のもので、現在の収入・資産に問題がなければ、不問とされる場合もあります。

「自己破産するとパスポートに記載される」という噂は、ビザの発給に影響を与える場合があることを誤解して理解された可能性が高いです。しかし、多くの海外旅行は「ビザなし渡航」ですから、自己破産しても影響ありません。

自己破産すると旅行できなくなるのか?

破産法37条は「破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない」と定めています。この条文によって、自己破産すると旅行(や引っ越し)が制限されます。

しかし、この制限は一時的なものに過ぎませんし、「旅行が絶対に禁止される」わけではありません。

自己破産したときに旅行が制限されるのは、申し立てた破産が「管財事件」の取扱いとなる場合のみです。

管財事件とは、簡単に言えば、破産者の資産や負債について慎重な調査をしなければならない場合に選択される方法です。管財事件では、破産管財人が選任され、破産者の財産・負債についての調査をします。破産管財人がする調査の例は、次の通りです。

破産管財人が行う調査の例

  • 破産者の財産を売却する
  • 破産者に財産隠しや申告漏れがないか調査する
  • 未確定の権利関係(過払い金など)について必要な措置をとる
  • 不公平な返済などがあったときに是正する
  • 債権者からの差押さえを解除・回避する
  • 裁量免責させて良いかどうか調査する
  • 破産者の自由財産(破産しても取り上げられない財産)を拡張する

破産すると旅行が制限されるのは「破産したペナルティ」ではありません。破産者には「破産管財人が職務を遂行するために必要な説明をする義務」があります。この義務を果たす必要がある限りで、居所を変えることが制限されるに過ぎません。

管財事件となるケース

申し立てた破産事件が「管財事件」となるのは、破産者に、差し押さえが禁止される財産のほかに「20万円以上の財産」がある場合です。たとえば次のような財産が20万円を超えるときには、管財事件となります。

  • 119万円を超える財産(99万円までは差し押さえされない)
  • 預貯金(すべての口座の合計)
  • 生命保険の解約返戻金
  • 自動車(破産手続き開始時の処分価値)
  • 不動産
  • 破産手続き開始時の支給見込み額が160万円を超える退職金

管財事件は、保有している財産にもよりますが、終了まで3~10ヶ月ほどかかります。不動産を保有している場合、売却に時間がかかれば、さらに長期になることがあります。

いつまで旅行が制限されるのか?

破産法37条の制限(転居・長期旅行の制限)は、「破産手続き開始決定から破産手続き終了まで」続きます。破産の申立てをするとすぐに制限されるわけではありません。また、「免責確定まで旅行が制限される」と説明しているサイトもありますが、正しいとはいえません。

破産法37条は、「説明義務を果たすための制限」なので、破産手続きが終了すれば、制限する必要がなくなるからです。

ただし、免責手続きでは「免責審尋」という期日が開かれます。現在の運用では免責手続きには「破産者本人が出頭する」のが原則です。「免責審尋を海外旅行ですっぽかす」ということになれば、当然免責判断に悪い影響を与えます。

自己破産する場合に免責を受けられるかどうかは最も重要なポイントです。破産手続きの終了で居住(旅行)制限は解除されますが、免責手続きが終わるまでは裁判所の呼び出しに対応できるようにしておくべきでしょう。

同時廃止では旅行は制限されない

申し立てた破産が「同時廃止」となった場合には、破産手続きは開始と同時に廃止(終了)するので、旅行は制限されません。

破産手続き中でも裁判所の許可を得れば旅行は可能

破産手続き中に急な出張などで「遠方に出かけなければならない」こともあり得ます。この場合には、裁判所の許可を得れば、出張や旅行することは問題ありません。先に説明したように「居場所の制限」は懲罰ではないので、必要な出張や旅行まで禁止されるものではありません。

弁護士に依頼することが制限を早く解除するために重要

旅行や出張が禁止されなくても許可を受けなければならないのは確かに面倒です。なお、現在の破産事件の運用では、「財産がないケース」でも、弁護士に依頼せずに「本人申請で申し立てたときには管財事件」として取り扱われることが一般的です。この場合には、裁判所に支払う予納金も50万以上となり高額になります。

また、次のような場合にも、財産の有無とは別に管財事件として取り扱われます。

  • 破産者に財産隠しが疑われる場合
  • 過払い金の有無を調査する必要がある場合
  • 破産申立て前に特定の債権者にだけ優先的に返済した場合
  • 破産申立て前に債権者から差押えをされている場合
  • 免責不許可事由がある場合
  • 破産者の自由財産(破産しても取り上げられない財産)を拡張する場合

これらの多くは、早期に弁護士に依頼することで、破産申立て前に解決できるものです。自己破産による制限をできるだけ小さくするためにも、弁護士に依頼することが重要です。

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ヤミ金からの借り入れがあっても債務整理できるのか?

ヤミ金からの借り入れがあっても債務整理できるのか?

「ヤミ金から借金をしてしまった」という人は意外と多いです。

いまでは借金に「総量規制」があることから、消費者金融やカード会社から借金することが難しくなりました。そのため、ヤミ金のニーズが高まっているという矛盾した状況にあります。

ヤミ金といえば、「暴力的な取立て」をイメージする人が多いでしょう。そのため、「ヤミ金からの借金は債務整理できない」とあきらめている人は少なくないようです。

これとは逆に、最近では「親切なヤミ金」も増えているので、「ヤミ金だけは返済したい」と思う方もいるようです。それだけ、正規の金融機関から借金することが難しくなったということです。ヤミ金に対する規制は強化されていますが、ヤミ金被害は減っていないのです。

ヤミ金は、法外な金利が課されるので、放置しておくと深刻な問題に発展します。今回は、ヤミ金からの借金を整理する方法について説明します。ヤミ金から借りてしまったという方は、できるだけ早く対処しましょう。

ヤミ金(闇金)とは?

わが国で貸金業を営む場合には、国(財務局)もしくは都道府県(知事)の登録を受けなければなりません(貸金業法3条)。ヤミ金は、この登録を受けずに貸金業を営む者のことをいいます。

登録を受けないということは、貸金業者に対する様々な「規制」も無視するということです。そのため、「ヤミ金とは付き合わない」のが大原則です。ヤミ金から借金するのであれば、弁護士・司法書士に相談の上で債務整理した方が、絶対に良い結果となります。

なお、ヤミ金の詳細については、下記の記事で詳しく説明しています。

ヤミ金には「返済する必要はない」

ヤミ金からの借金はそもそも「返済する必要がない」のが基本です。ヤミ金の多くは、法外な利息を請求してきます。「トイチ」とよばれる利息が有名ですが、下の表のとおり、トイチは年利に換算すると365%にもなります。

種類 年利(単利)相当
トイチ(10日で1割) 年365%
トニ(10日で2割) 年730%
トサン(10日で3割) 年1095%
トヨン(10日で4割) 年1460%
トゴ(10日で5割) 年1825%

利息制限法の上限以上の利息は支払義務がない

利息制限法の上限利息は、年20%です。登録業者から借り入れる際にはこれを超えることはありません。ヤミ金の金利は、とても法外なのです。利息制限法の上限利率を超える利息は「法律上支払う必要がありません」

仮に支払っていた場合には、過払い金として返還を求めることも可能です。過払い金については、こちらの記事(G1)で詳しく説明しています。

「元金も返済しなくて良いケース」がある

ヤミ金からの借金は、「利息だけでなく元金の返済義務もない」ケースがあります。最高裁判所は、「著しく高利の貸付という形」をとった「反倫理的行為」によって得た利益は「不法原因給付(民法708条)」にあたると判示しています(最高裁判所平成20年6月10日・最高裁判所民事判例集第62巻6号1488頁)。

わかりやすく言えば、「ヤミ金業者は、違法であることを知った上で、法外な高金利で融資したのだから、その融資が法律上無効とされても、貸したお金を返せとはいえない」ということです。

実際に、このケースでは、「暴力団組織が年数百パーセントで貸し付けた融資」は、金銭消費貸借契約の形式を装った「反倫理的行為」だから不法原因給付だとしています。

しかし、やはり「ヤミ金は怖い」ものですから、「1円たりとも返さない」というのは抵抗があるという方が多いと思います。

ヤミ金でも「債務整理」に応じてくれる理由

「ヤミ金は債務整理に応じない」とあきらめている方は多いかも知れません。しかし、実際には、ヤミ金も債務整理に応じてくれます。その理由は次の通りです。

  • ヤミ金は「違法」であることを自覚している
  • ヤミ金は「すでに儲けている」可能性が高い
  • 返済できない債務者と揉めるより新しい顧客を探した方が儲かる

ヤミ金が違法であることはヤミ金が一番知っている

ヤミ金は、仮に利息制限法通りの利息であっても違法です。ヤミ金は、自分が違法行為をしていることを一番よく知っています。そのため、執拗に取立てをした結果、債務者が「警察」や「弁護士・司法書士」に相談することを常に警戒しています。

最近では、暴力的な取立てをしないネオヤミ金・ソフトヤミ金とよばれるヤミ金業者が増えています。ネオヤミ金やソフトヤミ金は、債務者の身の上話も聞いてくれるほど親切な業者が少なくありません。「なぜ親切なのか?」といえば、債務者が警察や弁護士に相談いかないようコントロールするためです。

私たちが一般的に想像するヤミ金は「暴力」を背景に債務者をコントロールしますが、これとは逆の方法で、債務者をコントロールしようとしているのがネオヤミ金・ソフトヤミ金なのです。

ヤミ金にとっても、「返済を強要して」逮捕・摘発されるリスクが増えるよりも、債務整理に応じた方が賢明なのです。そのため「弁護士・司法書士」が交渉すれば、借金の減額や残った返済の免除に応じるヤミ金業者も少なくありません。

ヤミ金はすでに儲けている

ヤミ金を利用する人の多くは、「正規の登録業者」からは融資を受けられない人です。そのため、貸し倒れのリスクも高くなります。ヤミ金が高金利で貸し付けるのは、貸し倒れのリスクを吸収するためです。これを言い換えれば、「ヤミ金は短期間で儲けている」ということになります。

トサン(10日で3割)のケース

ここでは、「ヤミ金からトサン(10日で3割)で借金」したケースで説明します。

ヤミ金では、1週間から2週間ごとに「利息のみ」を支払う方法で返済することが一般的です。これを「ジャンプ」とよぶことがあります。さらに、ヤミ金では、予め「手数料(3,000円前後が相場)」と「初回の利息」を差し引いた額を、顧客の銀行口座に振り込むことで融資を実行します。

10万円をトサンで借りた場合であれば、融資実行の際に振り込まれるのは67,000円ということになります。実はこの時点で、トサンというのは名目の利息で、実質利息は約45%になっています。

そして、「10日ごとに利息の3万円を支払う」のがソフトヤミ金の一般的な手口です。

このケースであれば、利息を3回(9万円)支払えば、実際に貸し付けた67,000円が返済されなくても、「ヤミ金業者は儲かっている」のです。

ヤミ金は「10万円程度まで」の小口の融資がほとんどです。ヤミ金が小口融資を原則としているのは、「早く利益を出す」ためにほかなりません。

返済できない債務者ともめるより新しい顧客を探した方が儲かる

資金繰りの厳しい債務者に返済を迫ることは、コストがかかります。頻繁に電話もしなければなりませんし、場合によっては、訪問する必要もあります。しかし、訪問して取立てをすることは、移動にコストがかかることはもちろん、自らが逮捕されるリスクを高めることにもなりかねません。

ヤミ金の多くは、無店舗で、顧客と直接接触しないで融資を実行し、返済を受けています。それは「摘発リスク」や「営業コスト」を減らすためです。既に利益の出ている顧客であれば深追いするよりも「新しい顧客」を探した方が、ヤミ金にとっては儲けが大きいのです。

ヤミ金を債務整理するには「弁護士・司法書士への依頼」が必須です

ここまでお話してきたように、ヤミ金からの借金も債務整理することは可能です。しかし、ヤミ金相手の交渉を弁護士や司法書士に依頼せずに行うことは絶対に控えるべきです。その理由は次の通りです。

  • ヤミ金のメンツを潰すことは危険
  • ヤミ金の背後に暴力団がいるかどうかは簡単にはわからない
  • 警察は当てにならないこともある

「利息を全く支払っていない」というケースでもなければ、支払に行き詰まるまでにヤミ金は「既に儲けています」。したがってヤミ金も債務整理(残りの支払の免除)に応じてもらえる可能性があることは既にお話ししたとおりです。しかし、素人である顧客債務者が直接「もう払えない」と交渉することは、やはり危険です。「素人にメンツを潰された」とヤミ金が感じれば「逮捕されるリスクを覚悟」で報復してくる可能性だってあります。

特に、ヤミ金の背後に暴力団がいるケースではこの点で注意が必要です。ヤミ金には色んなヤミ金があります。最近では過去に登録業者であった貸金業者がヤミ金化したものも増えていますが、背後に暴力団がいるかどうかは素人にはわからないものです。表向きは親切そうでも「実は」ということがあってからでは手遅れです。

ヤミ金が最も恐れているのは「警察」です。したがって、ヤミ金への対応の基本は「警察に通報する」ことです。しかし、実際には警察は期待通りに動いてくれない場合があります。

ヤミ金については、所轄警察署の「生活安全課」が窓口となります。交番ではダメです。さらに相談ではなく「被害届」を出す必要があります。相談では多くのケースで動いてもらえません。

警察に素早く対応してもらうためには、ヤミ金業者とのやりとりを記録しておく(スマホのスクリーンショットや通話を録音できるアプリを利用する)ことも重要ですが、かなり手間暇がかかります。

本人が交渉する際のリスクは弁護士・司法書士に依頼することですべて解決

ヤミ金との交渉をあなた1人で行うことは、大変リスクの大きいものです。しかし、これらのリスクは弁護士・司法書士に依頼することですべてクリアできます。

「弁護士や司法書士に依頼」することで、「ヤミ金のメンツ」は最低限保たれます。ヤミ金にとっても「弁護士・司法書士がでてきたなら仕方がない」と言い訳が立つからです。また、背後に暴力団などがいるようなケースでも、「ヤミ金問題に精通した弁護士・司法書士」であれば、依頼者であるあなたに危険が及ばないように交渉するノウハウを持っています。さらに、警察も「弁護士・司法書士」が要請した場合であれば、あなたが1人で被害届を出した場合よりも「速やかに」対応してくれます。

ヤミ金を債務整理してもブラック情報にはなりません

ヤミ金の問題を抱えている人は、他の借金の問題も抱えていることが多いでしょう。ヤミ金からの借金は、消費者金融やカード会社への返済に充てられていることが少なくないからです。ヤミ金は債務整理してもブラック情報にはなりません。ヤミ金は非合法の業者ですから、指定信用情報機関に加盟できないからです。

ヤミ金の問題が片付けば「残りの借金は返済できる」という場合も少なくないでしょう。またヤミ金だけでなく、他の借金もまとめて解決したい場合もあります。いずれに場合においても、まずは、弁護士・司法書士に相談することが、ベストの選択肢です。

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天音法律事務所の評判と口コミ|オヤジと女子高生の債務整理・任意整理・過払い金・自己破産

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天音法律事務所の特徴と解説

概要

弁護士法人天音法律事務所は第一東京人見勝行弁護士と三上拓馬弁護士の2人の弁護士が運営する法律事務所です。

永田町駅のエリート弁護士事務所が多く集まるエリアに事務所を構えており、債務整理問題に強く、かつ費用はリーズナブルといわれる法律事務所です。 代表の人見勝行弁護士は書籍をいくつも執筆するなど見識は広く深く、トータル的な相談を行う事ができます。

特徴

天音法律事務所の過払い金の弁護士費用は
着手金0円
報償金19800円(1件に付き)
過払い金報酬20%

任意整理の弁護士費用が
着手金 39,800円(債権者1件につき)
報償金 19,800円(債権者1件につき)
減額報酬 10%
過払い金報酬 20%
と一般的な相場と同じか、少し低い費用設定になっています。

弁護士が2人いて、質の高い法律相談ができるのにもかかわらず、費用は相場どおりか比較的リーズナブルといった、コストパフォーマンスのいい法律事務所が弁護士法人天音法律事務所の特徴です。

強み(メリット)

弁護士が2人在籍しており、2人の意見が聞けるところは大きなメリットとなります。 更に個人向けの法律相談は、債務整理の他に不動産関係、消費者トラブル関係、労働紛争も承っており、「消費者トラブルで借金が発生した」「残業代の未払いが何年間もある」と言ったトータル的な法律相談、解決も可能といった非常に便利な法律事務所と言えるでしょう。

完済済みの過払い金については、着手金ゼロ円(報奨金債権者1件に付き19,800円、過払い金報酬20%)と初期費用ゼロ円の完全出来高制で行ってくれますので、諦めかけていた過払い金がある人は弁護士法人天音法律事務所にお願いすれば初期費用リスクなく依頼することが出来ます。

対応エリア

全国どこでも対応してくれますので、まずはWEB無料相談窓口で状況の説明からスタートしてみましょう。

実績

任意整理で月々の返済額を半額にする、自己破産で借金額をゼロにするなど、数々の交渉実績を持つのが弁護士法人天音法律事務所です。

任意整理は特に相手との交渉や、過去に払い過ぎた支払金利との相殺で残債が大きく変わります。

天音法律事務所は債務整理の実績を多く持ち、貸金業者との交渉力がある法律事務所ですのでベストな結果が期待でそうです。

依頼の流れ

弁護士法人天音法律事務所で債務整理をしたい場合は、24時間365日受け付けているサイトからの相談が一番便利です。

その後、事務所に赴いて解決方法の提案を受け、実際に契約して債務整理を行っていきます。

契約した後は殆どが弁護士さんの仕事で、その場で金融会社からの督促はストップし、2~6か月間かけて金融業者への交渉・対応を開始し、解決を行ってくれます。

その他

人見勝行弁護士は最初、一般企業に就職するも弁護士になる為司法試験を受けなおした方で、一度一般企業を見ている為見識が広い弁護士です。

会社法や民事、刑事に関連する著書を多く執筆しており、俗に言われる有名弁護士ですので見識の広さと深さは法曹界でもトップクラスと言えるでしょう。

個人的な意見

著書を出版する弁護士が代表を務め、見識の深い法律相談が可能な信頼感がひときわ際立つ法律事務所です。

にもかかわらず過払い金の着手金はゼロ、任意整理の弁護士費用も比較的リーズナブルな点から、質はよく費用は安いといった法律事務所でしょう。 代表の人見勝行弁護士は会社法や民事、刑事事件にも強い弁護士ですので、会社の整理や解散に絡む債務整理についても有益なアドバイス、法律処理を行ってくれ、個人、法人共に相談が出来るバランス面でも優れています。 迷ったら弁護士法人天音法律事務所に相談すれば他と比べ大きな損は発生しないでしょう。
ポイント

無料カウンセリングやお問い合わせは、WEBお問い合わせフォームから行った方が履歴が残って安心確実です。


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女子高生マコとおやじ 天音法律事務所編

おやじ
はぁ……困った……
真心
おじさ~ん! お~い!
おやじ
もうどうすればいいんだ……
真心
もうっ! ……おじさんったらっ!!
おやじ
……っ!? うわっ、ビックリした……何だい君は?
真心
やぁ~と気がついてくれた。ヤッホー! アタシは真心、ただの通りすがりの女子高生だよ! なんかためいき吐きまくってるの聞こえたから声掛けちった~。それよりおじさん、何かあったの?
おやじ
え? どうしてだい?
真心
どうしてって、ためいき吐いて『困った』って言ってたでしょ?
おやじ
聞かれてしまったのか……これは恥ずかしいところを見られてしまったね、ははっ……
真心
無理して笑わなくていいよ。それより、何に困ってるの? 良かったらアタシに聞かせてみてよ
おやじ
構わないけれど、きっと面白くないよ。いいのかい?
真心
全然、大丈夫! 聞かせて!
おやじ
それじゃあ、聞いてくれるかい……実は、去年急な手術をすることになってね、一度職を手放して手術としばらくの療養生活をしていたんだ。その時にやむ終えず借金をすることになってしまってね
真心
うんうん
おやじ
それで、今は身体も良くなったから仕事をしながら毎月コツコツ返済をしているのだけれど……それが一向に減らなくてね
真心
えぇっ~!? なんで??
おやじ
お金を借りるとね、利子というものが付くんだよ。簡単に言うとレンタル料金みたいなものだね
真心
ほほ~ほ!
おやじ
その利息が思っていた以上に多かったようでね、返済できるようになった頃にはとんでもない額になってしまっていたんだ。それで、今は給料のほとんどを返済に使って、生活費をまた別の所で借りるということをしてしまっている状態でね
真心
それじゃあ、この先もずぅ~っと返していかなきゃいけないってこと?
おやじ
そういうことだね。それで、何とかできないかと悩んでいたんだよ
真心
そういうことか~。なんかかわいそ~……病気はおじさんのせいじゃないのに。何とかできないかな……せめてどこか相談できるところとかあったらイイんだけど
おやじ
ははっ、ありがとう。君は優しい子だね
真心
だって納得いかないよ。仕方なく借りたお金にずっと困らされるなんてさっ! だから、どっかイイ所ないかちょっと探してみるよ!
おやじ
え? 探すって、そんなに簡単に見つかったりは……
真心
おっ、イイ感じの所はっけ~ん! 『天音法律事務所』っておじさん知ってる?
おやじ
いや、初めて聞いたね。どんな所なんだい?
真心
えっとね~! 『毎月の返済ストレスを解決』って書いてあるよ! あと相談は何回でも無料で、北海道から沖縄まで全国対応なんだって~、すっご~い!
おやじ
それは良い! 実はいま、出張でたまたまこっちに来ているだけで元々は北海道に住んでいるんだよ。そこまで対応してもらえるのは有り難いね
真心
マヂ? じゃあ丁度イイじゃん、一回相談してみなよ! ほら、これサイトのURL
おやじ
ああ、ありがとう。えっと、まずはメールで問い合わせか……丁度パソコンも持っているし、帰りの新幹線で早速問い合わせてみるよ!
真心
うん! 無事に解決するといいね! 応援してるよ!
おやじ
ありがとう。帰る前に君のような優しい子に出会えて良かったよ
真心
アタシもおじさんの笑顔が見られて良かったよ! それじゃあまたね~!
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天音法律事務所の口コミ

体験者の口コミ その1

クレジットカード会社4社から借り入れていた計300万円の返済に行き詰まり、天音法律事務所で相談に乗ってもらい債務整理を行いました。まだ子供が小さいので将来のためにも自己破産はせず、長期間の返済プランで返していくことを弁護士先生から提案されました。利用したカード会社との話し合いは全て先生が行なってくださり、過払い金等の計算をしたら借金を220万円まで減らしてくださってとてもありがたかったです。いい法律事務所を利用できて感謝の言葉しかありません。

体験者の口コミ その2

主人との共働きで家計をやりくりしていたのですが、私が体調を崩してしまい働けなくなり子どもの教育費などもかさんで消費者金融から借金を重ねてしまうようになっていました。主人にも相談できずに途方に暮れていたのですが、天音法律事務所に相談すると家族にばれないように迅速に債務整理を行ってもらえて、おかげで返済額も大幅に減り何とかフルタイムで働かなくても体調と相談しながら返済することができるようになりました。

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過払い金請求はブラックリストに載る?注意すべき2つの条件とは

過払い金請求はブラックリストに載る?注意すべき2つの条件とは

「既に完済している過去の借金に過払い金があるのであれば返金してもらいたい」と思っている方はたくさんいらっしゃると思います。実際にこれまでにたくさんの方が過払い金の返還を受けています。
 
しかし、その他方で、過払い金の返還を請求したことで、ブラックリストに掲載される等の不都合が生じるから諦めたというような声もしばしば耳にします。この記事では、過払い金とブラックリストの関係についてお話していくことにします。

 

インターネットには古い情報や不正確な情報が少なくない

過払い金返還や債務整理についてインターネット等で調べてみると、古い情報のままとなっているものや、間違っているとまではいかなくても不正確な情報が少なくありません。その定型例の1つが「過払い金請求をするとブラックリストに掲載される」という情報です。

 

しかし、後に説明しますように、過払い金請求をしたことの関連でブラックリストに掲載される(信用情報において「事故」として取り扱われる)ことがないわけではありませんが、むしろそれは例外的なケースです。現在の制度としては過払い金返還の請求をしたことが直接的にブラックリスト掲載の原因となることはありません

以前は、過払い金の返還請求がブラックリストに掲載されていた

そもそも「ブラックリスト(信用情報における事故履歴)」とは何なのか?ということについては、こちらの関連記事で説明していますので、参考にされてください。

 
 【関連記事】06.借金とブラックリストの詳しい解説|情報を消すことはできるのか?

 
過払い金の請求と信用情報との関係には、多少の変遷があります。過去においては、過払い金の返還を求めることが信用情報において「債務整理をした場合」と同じ扱い(コード32といいます)を受けていた時期があります。これが平成19年8月から過払い金の返還請求の場合には、コード32ではなく、「契約見直し(コード71)」というものに切り替えられることになりました。
 
しかし、これは見た目としての番号が変わっただけともいえますので、業者側としてはこれを「事故情報」として扱っていることには変わりがありませんでした。その意味では、「過払い金の請求をするとブラックリストに掲載される」ということは、過去においては正しい情報でした。

過払い金の請求は事故情報にはなりません

しかし、この「コード71」は、平成22年4月19日に廃止されています。さらに、それまでに登録されていたコード71の情報も全て削除されています。したがって、現在では、「過払い金の返還を求めたことが信用情報上の事故として取り扱われることはない」というのが、大原則です。まずは、この点を確認しておくことが大切でしょう。

過払い金の返還を請求する際に注意しなければいけないケース

原則には例外がつきものですが、過払い金請求とブラックリストの関係にも当然に例外があります。具体的には、過払い金の返還を貸金業者等に請求する場合に、つぎの2つの要素を満たしている方は、ブラックリストに掲載される可能性があるので注意が必要です。

 

  1. 借入金がまだ残っている場合
  2. 過払い金の返還の手続きを弁護士や司法書士に依頼した場合

 

借入金がまだ残っている場合

たとえば、次のような場合には、債務整理(コード32)の情報が、5年間掲載されることになります。

 

  • (ア)過払い金と残債務とを相殺したが、債務が残ってしまった場合
  • (イ)クレジットカードのキャッシング(借入)の取引で発生した過払い金の額よりもショッピング(立替金)の債務が多かった場合
  • (ウ)過払い金返還を求める貸金業者には債務がなくても、その業者と合併した業者に対する債務があり相手先業者の過払い金と相殺してもなお債務が残っている場合
 

当初から債務整理を目的に過払い金の返還を考えている場合であれば、ブラックリストに掲載されるリスクは承知の上ということになりますので、問題ではないのでしょうが、(ア)や(イ)のケースのような場合に、「過払い金で完済となるつもりだった」のに、実際には債務が残ってしまったという場合であれば、ブラックリストに掲載されることは、予期していなかった不利益・不都合ということになります。
 
さらに(ウ)のようなケースの場合については、専門家ではない一般の方が、貸金業者の合併事情を事前に知った上で過払い金の返還を求めるというのは、そもそも難しいことです。

過払い金の返還の手続きを弁護士や司法書士に依頼した場合

先のように過払い金によって残債務を返済する場合には、弁護士・司法書士が受任通知を受け取った段階で、ブラックリストに掲載されることになります。もっとも、過払い金によって完済となることが明らかな場合には、即座にブラックリストに掲載することを見送る貸金業者もあるようですが、掲載されるものと考えておいた方がよいでしょう。

 

その後、過払い金返還のための交渉を行い過払い金が支払われることが確定したところで完済となり、信用情報上もそのように取り扱われることになります。したがって、この場合は、完済により債務整理の情報も削除されますから、ブラックリストに掲載される期間が一時的なものにとどまるという点で、過払い金による相殺後も債務が残ってしまう場合(完全に債務整理と扱われる場合)とは異なります。

 

 

ブラックリストに掲載されることを回避する方法

ここまで内容を簡単に確認しておけば、既に完済済みの案件について過払い金の返還を求める場合には、ブラックリストに掲載されることはありません。しかし、現在も債務が残っているケースにおいては、過払い金の返還を求めたことがきっかけで、ブラックリストに掲載される可能性があることは否定できません。

残っている借金を先に返済してから過払い金を請求する

 たとえば、車の購入等で近々新規の借入れが必要となるというような場合や、新規にクレジットカードを作らなければならない事情があるというような場合には、過払い金の返還は求めたいが、ブラックリストにも載りたくないということになります。一般的にそのような場合には、何とか返済の資金を融通してきて過払い金の返還を求める貸金業者の返済を先に終わらせてしまうことで、ブラックリストへの掲載を回避することは可能です。

過払い金を請求する順序に工夫をする

また、複数の貸金業者から過払い金の返還を求めるという場合には、その中に、完済済みの業者や、過払い金と残債務を相殺しても過払いとなるような業者が存在するのであれば、確実に完済済みとなっている貸金業者への過払い金返還を先に行い、そこで得られた過払い金で、債務の残っている業者への債務を完済してから、この業者に過払い金の返還を求めるというようなことも考えられます。

自分自身で取引履歴を取り寄せる

過払い金によって完済になるかどうかよくわからないが、弁護士に過払い金の調査を依頼することで「一時的にであってもブラックリストに掲載されることは困る」という少し複雑な事情がおありの場合もあるかもしれません。この場合には、貸金業者に対する取引履歴の開示請求をご自身でなされてから弁護士や司法書士に相談することも可能です。本人からの開示請求によってブラックリストに掲載されることはありません。

 
 【関連記事】07.借金残高を信用情報機関に確認する3つの方法と手続き

 

いずれにせよ、それぞれのケースの具体的な事情によって、ベストな方法が異なりますから、弁護士・司法書士とよく相談された上で対応を決められることが大切です。

 
「債務整理の解説書」目次はこちら
借金の基礎知識から、債務整理に関するすべてのこと(任意再生、特定調停、個人再生、自己破産、過払い請求の請求)について分かりやすく解説しています。

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グレーゾーン金利とは?上限利率29.2%はいつ廃止になったのか?

グレーゾーン金利とは?上限利率29.2%はいつ廃止になったのか?

弁護士事務所や司法書士事務所のTVコマーシャルや広告等でよく「過払い金の返還」という言葉を目にしますが、この記事では、その基本的な仕組みについて確認していきます。
 
ここでのポイントは、出資法・利息制限法・グレーゾーン金利というキーワードです。まずは、債務整理に必要となる最低限の範囲で、出資法と利息制限法について確認しておきましょう。

 

従前の出資法による利息の制限

この法律の正式名称は、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」といいますが、長いので、出資法とよばれることの方が一般的です。この法律が制定される前は、銀行法や利息制限法をうまくすり抜けた、いわばグレーな街の金融組織が存在していたため、社会問題の1つとされていました。出資法はこれらのグレーな金融組織を規制することを目的に制定されたものです。

 

従前の出資法では、業として金銭の貸し付けを行う場合には、年29.2%をその利息の上限と定めていました(出資法(旧)5条2項)。これに違反したときには、その金銭消費貸借契約(お金の貸し借りの契約のことを法律用語では金銭消費貸借契約といいます)を締結しただけで、刑事罰の対象となります。ですから、普通の貸金業者であれば、この金利を超えて貸し付けることはありません。
 
 
【関連記事】10.これだけは知っておきたいヤミ金融(ネオ闇金)の8つの手口と対策

 

利息制限法が定める上限利率

利息制限法はその歴史を辿れば明治初期までさかのぼることのできる古い法律ですが、それぞれの時代の状況にあわせて改正が行われ、現在の規定となっています。この利息制限法では、金銭の貸し借りにおける利息の契約における利息の上限を下の表のように規制し、その超過部分は無効であるとしています(利息制限法1条1項)。

 

借入元本の額 上限利率
10万円未満 20%
10万円以上100万円未満 18%
100万円以上 15%

 

グレーゾーン金利

出資法のところでも説明しましたように、出資法の上限利率に違反しているときには、その契約それ自体が無効となります。しかしながら、利息制限法の上限利率に違反しても罰則はありませんし、さらに、従前の利息制限法では、利息制限法の制限を超過した利息を債務者が任意に(債務者自身の意思で)支払った場合には、その返還を請求することができないとも定められていました(旧1条2項 ※現在は削除されています)。

 

以上のような法律の枠組みを前提に、ほとんどの貸金業者が、利息制限法(15~20%)以上出資法(29.2%)未満の金利で実際の貸し付けを行っていました。この利息制限法(15~20%)以上出資法(29.2%)未満の利息のことを、「グレーゾーン金利」と呼んでいます。

 

 ここまでを整理しておくと、次のようになります。

 

  • 出資法の上限利率を超える場合には、当然に無効(刑事罰)
  • 利息制限法の上限利率を超える場合は、原則としては無効(法律上の支払い義務なし)
  • 利息制限法の超過利息は、一定の条件を満たせば有効となる場合がある

 

現在は「みなし弁済」と「グレーゾーン金利」は違法です

そこで、従前では、債務者がこのグレーゾーンの金利を「任意に」支払っていたものと評価できるかどうか(実務では「みなし弁済」があったかどうかといいます)がポイントとされていました。

 

しかし、このみなし弁済についても、最高裁判所が、「貸金業者からの借入れに対する返済は、原則としてみなし弁済には該当しない」という趣旨の判決を平成18年に言い渡したことから、このグレーゾーン金利は一律に違法なもの(法律上支払う必要のない利息)として扱われるようになりました。

 
グレーゾーン金利に該当する金銭の支払いは、法律上払わなくても良い支払いですから、貸金業者がこれにより利益を得ることは、「不当利得」となり、その返還を求められたときには、これに応じる義務が生じます。過払い金返還請求というのは、この不当利得を返還してくれという請求なのです。

 

先の平成18年の最高裁判決が引き金となり、貸金業者に対しては多くの過払い金返還請求がなされるようになりました。そのために平成23(2011)年には、貸金業者最大手の1つだった武富士が倒産したことは有名な話です。

引き直し計算をすると元本過払となる場合もある

以上のように、現在ではグレーゾーン金利による貸付けを受けた場合には、この利息についての支払い分を返還してもらえることになります。従前は、ほとんどの貸金業者が年29%ほどの出資法上限金利ギリギリの金利で貸し付けを行っていましたから、利息制限法の上限利息との差は年10%近くになります。

 

その頃の消費者金融の一般的な当初貸付限度額は50万円でしたから(50万円の借り入れに対する利息制限法の上限利率は年18%です)、単純に比較計算すると年あたり5万円ほどの違いが生じます。

 

このように、借入額を利息制限法の上限金利に照らし合わせて利息を計算しなおした上で返済状況を確認すると(これを「引き直し計算」とよんでいます)、ケースによっては、利息の支払い過ぎというだけではなく、既に元本まで完済していたという場合や、元本完済後もさらに余計な支払いを続けていたことが判明するケースもあります。

 

このような元本まで過払いとなっている可能性は、返済期間が長ければ長いほど、高くなります。「私の(過去の)借金に過払いがあるのでは?」と思われた方は、できるだけ早急に弁護士・司法書士に相談されることを強くお勧めします。
 

【関連記事】60 過払い金の返還を求めようか迷ったら。注意すべき2つのポイント

 

グレーゾーン金利の廃止

先に触れた平成18年の最高裁判決を受けて、多くの貸金業者に対し過払い金の返還を命じる判決が言い渡されるようになりました。さらに、平成18(2006)年に出資法が改正されその上限利率が20%と定められ、これが平成22(2010)年6月に施行されたことで、制度としてもグレーゾーンの問題が解消されました。
 
また、これにあわせて、利息制限法に違反する金利(その元本額により15~20%に該当する金利)による貸し付けを行った貸金業には行政処分が下されることになりました。

 

これをまとめると、下記の図のようになります。
 

 

現在の借入金には過払い金の問題は発生しません

貸金業者側も、これに対応するため、改正法が施行される平成22(2010)年に先立って、平成19(2007)年の間にはほとんど全ての貸金業者が利息制限法の利息内で契約を行うようになりましたので、平成20(2008)年以降の取引ではこのグレーゾーン金利の問題は生じなくなっています。

まとめ

 ここまでの内容のうち特に重要な点をまとめておきます。

 

  • 利息制限法の上限(15~20%)を超える貸付けを受けていた場合には、過払い金が発生している可能性が高い
  • 借り入れたときの利息を覚えていなくても、平成20(2008)年以前に貸金業者から借り入れをしている場合には、利息制限法の上限を超える利息で借入をしていた可能性が高い
  • この超過利息による借入れの返済を5年以上継続していた場合には、過払い金が発生している可能性が高い

 

「私の場合には過払い金は関係ない」と思い込んでしまっている方もいるかもしれませんし、また過去に借金があったことは思い出したくもないという人もいるかもしれません。

 

しかし、超過利息は違法なものですから、このために支払った金銭を返還してもらうことは、当然の正当な権利なのです。近年では、過払い金の有無に関する調査を無料で実施してくれる弁護士・司法書士が増えていますので、「もしかして」と思われたときには、ぜひ専門家に相談してみてください。

 
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突然の病気やリストラ、友人の連帯保証人となってしまったこと等、借金を重ねてしまった原因は、実にさまざまですが、パチンコや競馬等のギャンブルや、株やFXといった投機行為なども多大な借金をつくってしまった原因の典型例に挙げられます。
 
ギャンブルや遊興費などで借金を作ってしまった場合については、「破産しても免責されない」、「ギャンブルの借金でも免責できる」両方の情報が飛び交っていますが、この記事ではその問題についてお話していくことにします。

 

破産法の規定ではどうなっているのか

破産した場合であっても、免責を得なければ、残った借金の支払い義務は免除されませんから、自分のケースで免責されるかどうかということは、破産の申立てを検討している人にとっては、重大な関心事です。この免責について、破産法では、一定の事情がある場合には、免責を与えないこととしています。この場合の免責を与えるべきではない事情のことを、「免責不許可事由」といいます。

 

この免責不許可事由は、破産法252条という条文でいくつかの事情が定められています。たとえば、パチンコ・競馬等のギャンブル、キャバクラやホストクラブ遊び、株やFX、ブランド品の購入などによる借金が原因となって破産をした場合には、「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した」(破産法252条4項)という免責不許可事由に該当するものと理解されています。
 
この条文をそのまま読む限りでは、たとえばパチンコ(賭博)で多額の借金を負って破産をしたときには免責されないということになります。

 

ところが、実際の破産(免責)手続きの結果は、免責事件の95%以上が免責されています。これは、(後に改めて説明しますが)免責不許可事由があるケースであっても、裁判所の裁量で免責させることが破産法では認められています。これを「裁量免責」といいます。ですから、ギャンブル等の破産で得られる免責は、この裁量免責によるものなのです。「ギャンブル等で借金しても免責される」という説明は、このような事実をさしてのものです。

 

しかし、現在の破産手続きの運用では、少なくともギャンブル等を原因とする破産の場合には、免責をもらうことは簡単ではないと認識しておくべきだと思われます。

ギャンブル等による破産は管財事件

破産の手続きには、「管財型」とよばれる方式と、「同時廃止型」とよばれる方式とがあります。それぞれの方式については、下記の関連記事をお読みいただければと思いますが、従前は、個人破産のほとんどがこの同時廃止型で処理されていましたので、破産手続きが開始されると同時に廃止され、実際に行われるのは免責手続きのみという運用がとられていました。
 
この免責手続きも現在の運用に比べれば明らかに破産者に甘い対応をしていたところがあります(それには後に述べるような理由があります)。

 
【関連記事】48 破産「管財事件」と「同時廃止事件」の違い。どのように決まるか?
      49 個人破産は同時廃止が原則ではない。少額管財となる6つ条件とは

 

ですから、破産者の負担はそれほど大きくなく、破産手続きにかかる費用も少なく済みましたので、「ギャンブル等で破産しても(同時廃止だから)簡単に免責をもらえる」という認識が一部では広まっていました。

 

裁判所のこのような対応の背景には、借金の原因はギャンブルであったとしても、その債権者である貸金業者の側にも、グレーゾーン金利に代表されるような問題が少なくなかったことや、個人破産のような小規模案件を管財型で処理するだけのノウハウが裁判所になかったことがあります。
 
そして、現在の破産手続きの運用においては、この2つの問題のどちらもが解消されています。それを受けて、免責の実務にも変化が起きています。

現在の運用

一番の大きな違いは、現在の破産手続きでは、免責不許可事由に該当するケースは、破産者の財産の有無を問わず、(少額)管財として取り扱われることです。したがって、ギャンブルや浪費などを原因に破産を申し立てる際には、管財事件の予納金(20万円以上)が必要となります。
 
したがって「パチンコで全部すってしまって財産は何もないから、同時廃止で免責をもらえる」ということは、まずあり得ません。ギャンブルによって破産することになったという方は、管財事件の予納金だけは何とかかき集めないと、破産すらできないということになります。
 
ちなみに、この予納金を貸金業者から借金して用意するという行為は、免責不許可事由となるだけではなく、詐欺破産という犯罪に問われる可能性がありますから、絶対にしてはいけません。

 

このように、現在の破産法の運用では、ギャンブルのケースに限らず、偏頗弁済(へんぱべんさい)の疑いがあるケースや、収入や氏名を偽って借金をしたことが疑われるケース等も含めて、免責不許可事由の存在が疑われる破産申立ては、管財事件として取り扱って、破産管財人にこの免責不許可事由についての調査をさせることになっています。

調査をしなければ「裁量免責」は与えられない

実はこのような運用は、適正に裁量免責を与えるために必要な手続きなのです。裁量免責を得るためには、たとえば「ギャンブルで多額の借金を作ってしまったことを真摯に反省している」といったような、わかりやすくいえば、「本当は免責不許可なのだけども、そこまで反省しているなら特別に免責させてもよいだろう」と思わせられるだけの事情がなければいけません。

 

しかし、同時廃止で処理した場合には、そのような裁判所の裁量で「特別に」免責させても良いといえるだけの事情があるかないかがわからないのです。それまでの運用では、その調査を十分にできなかったのは裁判所の都合もあったので、裁量免責は比較的緩やかに認められていましたが、現在ではいわゆる少額管財の運用が広まったことで、その調査をするだけの体制が整ったということになりますから、調査もしないで免責を与えるというわけにはいかないのです。

管財事件とすることは、不誠実な債務者への温情

その意味では、以前の運用が例外的なのであって、現在の運用はあるべき運用に戻ったということができます。実際に、免責不許可事由が認められるケースを同時廃止で処理したことを理由に免責が認められなかったという裁判例も存在します。このことを別の見方でとらえると、そもそも免責不許可事由がある場合には、裁量免責を与えなくてもよいわけですから、管財事件として取り扱うということは、裁量免責を与えられるチャンスを提供しようということなのだと理解することもできます。

心配な場合には弁護士・司法書士に相談しましょう

ギャンブルの程度や借金の額が軽いという場合には、同時廃止であっても免責を受けられる可能性がないわけではありませんが、免責を得られるかどうかは非常に重要な問題ですから、予納金の負担等の関係でどうしても同時廃止で処理してもらいたいというときには、代理人弁護士によく相談されることが大切です。

 
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借金の基礎知識から、債務整理に関するすべてのこと(任意再生、特定調停、個人再生、自己破産、過払い請求の請求)について分かりやすく解説しています。

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自己破産ができない5つのケースとは?破産障害事由

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破産は、借金の返済に行き詰まり、どうにもならないという場合に利用を考える救済手段です。しかし、「破産ができない」という場合もあり得ます。この記事では、どんな場合に破産ができないのかということについてお話ししていきます。

 

法律上、破産させられない場合

破産ができないというケースは、大きく分ければ2つの場合、さらに細かく分ければ5つの場合にまとめることができます。大きな分類の1つは、破産手続きを法律上開始できない場合です。これは、さらに、破産原因がない場合と、破産障害事由がある場合の2つに分けることができます。

破産させるかどうかは慎重に判断されるべき問題です

破産という手続きは、債務者の財産を換金し、それを債権者に配当し、それでも残った債務については、免責を与える手続きです。しかも、換金や免責は、破産者・破産債権者の意思とは無関係に強制的に行われます。
 
要するに、処分されたくない財産でも処分されますし、返済を免除したくないと思っていても免除されてしまうという手続きなのです。したがって、破産手続きは、安易に開始されるべきではないということになります。

破産するための要件

そこで、破産手続きが開始されるためには、債務者(破産者)が一定の状態にあることが必要とされています。破産法では、破産をする債務者が支払不能でなければ破産手続きを開始することができないと定めています。

支払不能とは? ――その人によって支払不能の状態は違います

この支払不能というのは、どういう状態のことをいうのでしょうか。これを簡単に説明すれば、「債務者の資産や収入が少ないために、現在支払う義務のある債務を、将来にわたって返済することができない状態」にあることを支払不能といいます。法律の要素が含まれているので、少し長い文章になりましたが、分解すれば、次のようになります。

 

  1. 債務者に返済能力がない(資産や収入が足りない)
  2. いま現在で支払わなければならない債務がある
  3. 将来においても②の債務を返済できる見込みがない

 

という要素を満たしている場合に、破産手続きを開始することができるのです。具体的に借金がいくら以上の借金があれば破産できるという基準ではないので、少しわかりづらいのですが、誰がどの程度の借金を返済できるのかということは、それぞれの場合で違いますから、このように定めるほかないのです。

 

下の具体例にそって、説明してみましょう。
 

年収 資産 借金の額
例1 500万円 なし 150万円
例2 0円 1000万円 800万円
例3 800万円 1000万円 7000万円

 

例1の場合

おそらく破産は認められません。なぜなら、年収に対する借金の額が少なすぎるからです。一般的には借金総額が3年間で返済可能とされる額よりも少ない場合には、破産は認められないといわれています(原則3年で債務を返済させる個人再生の手続きがあるため)。

 

例2の場合

年収はありませんし、例1の場合よりも借金の額も多いのですが、1,000万円分の資産がありますから、これを売却すれば800万円の借金は返済できるので、やはり破産は認められません。

例3の場合

この3つの例では、一番収入も資産も多いですが、借金の額が多すぎますから、破産が認められるケースといえるでしょう。ただし、この場合であっても、この7,000万円の借金の支払い期限が5年後という場合には、現在支払わなければならない債務(法律用語では、弁済期の到来した債務といいます)ではありませんので、破産は認められなくなります。

 

要するにその人の財産状況に対して、借金の額が少なすぎるという場合には、自己破産の申立てをしても破産は認められないということなのですが、それならば、破産するためにさらに借金をすれば良いということにはなりません。
 
そのような悪意のある借金による破産の場合には破産詐欺罪に問われることになりますし、当然、免責もされませんので、返済義務は免除されませんので、そのようなことは絶対にしないでください。

破産障害事由

破産障害事由というのは、破産を認めても良いだけの借金があったとしても、破産させてはいけない事情の場合をいいます。破産の手続きは、実は債権者側からも申し立てることができます。
 
よく自己破産といいますが、これは、破産する側から「自分を破産させてください」という申し立てをするから「自己破産」とよばれるのです。この破産障害事由は、債権者側から破産の申し立てがあった場合に考慮されるべき要素です。

 

たとえば、借金を返済できずにいる債務者が弁護士と個人再生手続きを申し立てる準備をしている最中に、債権者がその債務者について破産手続きを申し立てたというような場合に、この破産障害事由が問題となります。
 
この場合、破産が認められてしまえば、債務者は、財産を強制的に処分されたり、一定の資格制限をうける可能性がある等の不利益を負担することになります。個人再生であれば、このような不利益を回避できますから、債務者にとっては、破産よりも個人再生の方が有利となります。
 
実は債権者の方も、個人再生による債務整理が成功したときには、債権者は破産手続きによりも多く返済されることが保障されていますので、破産よりも個人再生の方が有利なのです。このような場合には、破産の申し立てがなされていたとしても、破産手続きを開始するメリットがありませんから、破産を認めないということになります。

事実上破産ができない場合

大きな分類の2つめは、法律的には破産することはできても、事実上破産することができない(破産する不利益が大きすぎる)場合です。

破産手続きにかかる費用が用意できないケース

破産手続きにも当然ですが費用がかかります。破産手続きには、申立手数料・手続費用・予納金といった費用がかかります。このうち、申立手数料や手続費用は合わせて4,000円から10,000円程度ですから負担は大きくありません。問題は予納金です。
 
申立てた破産事件が同時廃止の扱いとなれば、予納金は2万円以内の場合がほとんどですから、これを支払えないということはあまりないでしょう。しかし管財事件となった場合には、20万円以上の費用が必要となりますので、その場合には破産手続きにかかる費用が払えないということで、破産できないという場合もあり得ます。
 
しかし、このような場合でも法テラスの法律扶助制度を利用することで立替払いをしてもらえる場合があります。詳しくは下記の関連記事をお読みください。

 
【関連記事】14.債務整理にかかる「費用・料金」を専門家が徹底解説

 

免責が認められないケース

破産を利用する場合は、最終的には、「借金の返済義務を免除してもらうこと」を目的とするのが一般的です。先ほども説明したように、破産は強制的に財産を処分するための手続きです。しかも、借金が返済できないことが明白な場合にしか破産できませんから、破産しても借金は必ず残ります。
 
ですから、その残った借金の返済義務を免除してもらわなければ、「財産は処分されたけれども借金も残った」という泣きっ面にハチのような状況になってしまいます。先ほども少しだけ触れましたが、詐欺的な借入行為があった場合や、財産の隠匿行為、ギャンブルや浪費による借金等の場合には、破産しても免責が認められないというケースがあります。
 
免責不許可となった場合には、個人再生によって、この借金を整理することになります。この免責については、下記の関連記事で詳しく説明していますので、そちらをご覧ください。

 
【関連記事】50.破産しても免責が認められない8つの理由とは?
      56.ギャンブル・FX・株・キャバクラ等の借金でも破産すると免責できる?

破産すると仕事を失うケース

破産することで、その仕事に就けないという職業がいくつかあります。たとえば、弁護士や公認会計士、税理士といった資格業や、警備員や保険外交員などは、破産によってその資格に制限をうけることになりますから、仕事を休めない、辞められないということで破産できないということもあり得ます。なお、破産と職業制限については、下記の関連記事で別に取り上げています。
 
【関連記事】57.破産すると影響を受ける職業とは?士業・生命保険外交員・警備員

 

破産できない場合にはどうするのか?

破産できないという場合には、個人再生等の別の債務整理の方法を選択するほかありません。具体的にどの債務整理の方法がベストなのかということは、それぞれの事情によって異なりますので、弁護士や司法書士に直接相談されるのが良いでしょう。
 
「私のケースは破産できないから」ということで、ヤミ金融や悪質業者から借り入れることで、その場しのぎの返済をしたり、夜逃げするというようなことを考えてはいけません。解決することが困難だと思われているような状況でも、弁護士や司法書士に相談されることで、借金問題を解決するための糸口は必ず見つかります。

 
【関連記事】 10.これだけは知っておきたいヤミ金融(ネオ闇金)の8つの手口と対策
       11.夜逃げのメリットデメリット。やめておいたほうがいい8つの理由

 

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破産しても免責が認められない8つの理由とは?

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この記事では、免責手続きについて説明します。個人破産は、借金の返済義務を免除してもらうために利用されるものですが、返済義務を免除してもらうためには、裁判所に「免責」を認めてもらう必要があります。
 
厳密には、この免責を得るための手続きは、破産の手続きとは別に実施されることになっています。

 

免責とは

免責は、借金の返済義務を免除させることです。よく「破産すれば借金が帳消しになる」といわれたりしますが、これは正確には、この免責のことを指しています。義務が免除されるというのは、とても強力な法的効果ですから、破産を申し立てだけで免責されるというのでは、「借りられるだけ借金をしてあとは破産で踏み倒せば良い」ということになりかねませんから、債権者との関係であまりにも不公平です。
 
そこで、破産手続きに手持ちの財産を拠出して債権者にできる限りの配当をし終えたことで、始めて免責の手続きを始めることができるというのが破産法の基本的な考え方です。

免責は誰にでも与えられるものではない

破産者を免責にしても良いとされる根拠には、2つの考え方があるとされています。その1つ目は、「破産手続きでできる限りの返済をした破産者に対する特典・ご褒美」として免責が認められるという考え方で、もう1つは、「破産者が借金から解放され経済的な再出発をするためには免責させることが必要不可欠なのだ」という考え方です。
 
これはいずれの考え方だけが正しいというものではなく、破産者に免責を与えるという制度の背景には、「精一杯のこと返済をしたのだからもう解放させてあげよう」という側面と、「借金で苦しんでいる人を社会(制度)として救わなければいけない」という側面の両方があるのだという程度に理解しておけば十分でしょう。むしろ、ここで大切なのは、免責は「当然に与えられる」ものではないということなのです。

免責不許可事由

破産法では、一定の事情がある場合に、免責を認めないことにしています。この事情のことを免責不許可事由といい、次の事情がそれに該当します。

 

  • 債権者への配当を邪魔する目的で、財産を隠した場合
  • 債権者への配当を邪魔する目的で、財産の価値を減少させた場合
  • 破産の開始を遅らせるために、ヤミ金からお金を借りたり、クレジットカードのショッピング枠を現金化した場合
  • 特定の債権者だけに優先的な返済や担保提供した場合
  • ギャンブルや浪費などで多額の借金をつくった場合
  • 破産申立ての1年前までの間に、債権者を騙し返済できないことがわかっている借金をした場合
  • 破産手続きに協力しなかった場合や、破産手続きを妨害する等の行為で、裁判所や債権者に対して不誠実な対応をしたとき
  • 前の免責から7年以内の再度の免責申立ての場合

 
【関連記事】56 ギャンブル・FX・株・キャバクラ等の借金でも破産すると免責できる?

 

免責の手続き

免責の手続きは、次の手順で進められます。

 

  1. 免責手続きの申立て
  2. 免責調査
  3. 免責の審尋
  4. 免責決定

 

免責手続きの申立て

さきほども説明したように、免責は破産手続きが終了してからでないと始めることができません。免責手続きは、破産手続きが終了してから1ヶ月以内に免責の申立てをすることによって開始されますが、実際には、破産の申立てと同時に免責も申立てもすることになります。

免責調査

免責の申立てがなされると、免責不許可事由の有無、免許不許可事由がある場合には、裁量免責の可否を判断するために必要な調査を行います。この調査は、管財事件の場合には、破産管財人が行いますが、同時廃止事件の場合には、破産管財人は選任されませんので、裁判所書記官に行わせることができます。
 
しかし、裁判所書記官による調査には限界があります。そこで、現在では、免責不許可事由が存在する場合や免責不許可事由が存在する疑いのある事件では、破産者に財産がなく同時廃止と扱える場合であっても、管財事件として取り扱うことが一般的です。免責調査型の管財事件では、破産管財人が破産者に直接面談して事情聴取することによって調査することが一般的です。

 

この際には、借入の原因や、借金が増えていった経緯等について聴き取るほか、免責不許可事由が存在するためには、裁量免責を与えるべきかどうかを判断するための資料として、破産者の生活状況等についても調査を行い、裁判所に報告書を提出します。最近では、破産者に反省文を書かせたり、生活再建策をまとめさせたり、3ヶ月ほどの期間毎月破産者と面談し、その際に家計簿などを提出させるケースもあるようです。
 
この調査の際に、破産者が破産管財人の調査への協力を拒んだ場合には、そのことが免責不許可事由とされますので、注意しなければいけません。

免責の審尋

この免責の審尋は、多くの裁判所で、「本人の出席」を必要なものとしています。破産申立ての際の破産の審尋は、弁護士(代理人)がいる場合には、開催されたとしても代理人が出頭すれば良いのですが、免責の審尋は、代理人のいる場合でも本人が出頭するように裁判所が求めてくることが一般的です。

 

免責の審尋は、裁判官が破産者に免責を与えるべきかどうかを判断するために、破産者本人に直接質問をしたり、破産者自身の意見を聴いたりするための手続きです。
 
そのやり方は、裁判所によって異なりますが、1人1人の破産者を個別に審尋する個別方式の場合と、10人~30人ほどの破産者を同時に集めて順に審尋する集団審尋の場合がありますが、特に問題がないケースでは集団審尋、特に問題のあるケースでは個別審尋によって対応するところが多いと思われます。

免責の決定

裁判所によって異なりますが、免責の審尋から1週間(から1ヶ月程度)で免責の決定がくだされ、免責の可否が決定されます。免責が許可された場合には、そのことが免責決定から約2週間後に官報に掲載されます。官報掲載後2週間の間は、債権者からの異議の申し立てのための期間となり、この間に債権者からの異議がなければ、免責が確定します。免責が確定すれば、それにより当然復権となります。

 
【関連記事】51.破産による制限の終了「復権」とは?復権される5つのパターン

 

免責不許可となった場合

不幸にも免責不許可となってしまった場合には、免責不許可の決定が送達されたときから2週間以内にこれに異議を申し出ることができます。この異議が認められないときには、免責不許可が確定しますので、破産後に残った債務の返済は免除されませんので、破産前と同様に返済をしなければいけません。
 
しかし、実際には破産前から返済できていない債務ですから、破産以外の方法で債務整理をする他ありません。この場合、任意整理による方法は、返済額との関係で現実的ではないので、個人再生による債務整理を行うことになるでしょう。

 
【関連記事】31.一番新しい債務整理の方法「個人再生」の手続きとは?

 
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破産しても借金の返済が免除されない非免責債権の7つのパターン

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破産手続きの利用は、最終的には債務の支払を免除してもらうために行うものです。その対価として、破産者(債務者)は、すべての財産を提供することを求められます。しかし、一部の債務については、免責を受けても支払義務が免除されない取り扱いになります。

 

非免責債権の種類

破産の免責の影響を受けない債権のことを「非免責債権」といいますが、下に挙げるものがそれに該当します。

 

  • 国や市町村が強制徴収できる請求権(税金・国民健康保険料・下水道料金・罰金等)
  • 悪意の不法行為による損害賠償請求権
  • 故意または重過失による生命侵害・身体侵害による損害賠償請求権
  • 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 生活費や養育費等の家族関係から生じる請求権
  • 未払い給料等の請求権(破産者が個人事業主である場合)
  • 破産者がその存在を知っていたのにもかかわらず債権者名簿に記載しなかった債権者の請求権

 

国や市町村が強制徴収できる請求権

これに含まれるものとしては、固定資産税や住民税のような税金や、健康保険税、年金、下水道利用料金、罰金などが挙げられます。ガス・電気の料金は、公共料金といわれるものですが、これは国や市町村長が強制徴収できる請求権ではないので、非免責債権とはなりません(滞納分は免責されます)。
 
ただし、破産手続き開始決定後の料金を未納すれば、止められてしまいます。水道については、下水料金とは徴収根拠となる法律が異なるため、市町村に支払うものですが、非免責債権とはなりません。

不法行為による損害賠償請求権

民法では、故意や過失によって他人の権利を侵害した場合には、それによって発生した損害を賠償しなければならないとされています。たとえば、他人を物を誤って壊してしまった場合や、他人を怪我させてしまった場合、交通事故で相手を死なせてしまったという場合に、損害賠償金を支払わなければならないということです。
 
このような場合に加害者である破産者が、損害賠償を支払わないうちに、破産の申立てをしたとしても以下の場合には、免責されないということになります。そうでなければ被害者との関係であまりにも不公平だからです。

 

  • 破産者のした不法行為が悪意による場合(詐欺や横領など)
  • 破産者のした不法行為が故意による生命侵害(死亡)や身体侵害(怪我)の場合
  • 破産者のした不法行為が重過失による生命侵害や身体侵害の場合

 

ここでは、悪意・故意・重過失という言葉の理解が一般の方には難しいと思われます。わかりやすそうな例で説明すれば、次のように説明することができるでしょう。

 

 脇見運転をしてしまった         ・・・過失
 飲酒運転をしてしまった         ・・・重過失
 無免許であることを知りながら車を運転した・・・故意
 相手を轢いて怪我をさせるつもりで轢いた ・・・悪意

 

下にいけば下にいくほど責任は重くなります。ですから、生命侵害や身体侵害の場合は、故意・重過失の場合には免責されず、さらに責任の重い悪意の場合には、それよりも被害の軽い不法行為(たとえば器物の破損)であっても免責されないということになるのです。

離婚の場合の慰謝料の取扱い

離婚の慰謝料については、離婚原因がDV(家庭内暴力)によるものであるときには、この慰謝料は非免責債権となります。他方で、不貞行為(浮気)の慰謝料は、確かに不法行為による損害賠償なのですが、不貞行為を働いた配偶者に積極的な加害意思(悪意)がない限り、非免責債権とはなりません。

生活費や養育費等の家族関係から生じる請求権

破産者が扶養義務者となる場合に負担義務を負う費用は、非免責債権とされます。いわゆる養育費や婚姻費用(別居中の配偶者の生活費等)がこの例として挙げられます。この費用は以前は免責される債権でしたが、平成16年の破産法改正の際に、新たに非免責債権として付け加えられたものです。

未払い給料等の請求権(破産者が個人事業主である場合)

労働者の賃金は手厚く保護される必要があります。したがって、法人が破産した場合と同様に個人事業主が破産した場合であっても、その従業員に対する賃金の支払を免れることはできません。

知っていたのにもかかわらず債権者名簿に記載しなかった債権者の請求権

これは、債権者名簿(債権者一覧表)を虚偽で作成したことになりますから、破産手続きに対する背信的な行為として、免責不許可事由となります。債権者名簿(債権者一覧表)に記載されなかった債権者には配当がありません。したがって、本来得られるはずであったのにもかかわらずこれを得られなかったことを補填するために、非免責債権として取り扱うことになります。

債権者が破産手続きが開始されたことを知っていたときは免責債権

しかし、この債権者が破産手続きが開始されていることを知っていたという場合であれば、債権者自ら破産手続きに債権を届け出ることで債権者名簿(債権者一覧表)に記載されることになります。
 
債権者が破産手続きの存在を知っていてもなお、債権者名簿(債権者一覧表)に記載されていなかった場合には、配当を受けることを自ら放棄したと考えることができるので、そのような債権者の保護する必要はありませんから、この場合には、債務者が意図的に債権者名簿(債権者一覧表)に記載しなかったとしても免責債権として取り扱われることになります。

 
【関連記事】53.自己破産ができない5つのケースとは?破産障害事由
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破産の手続きとは?

破産手続きは、もはや債務を返済することのできなくなった状況(これを支払不能とよびます)にある債務者(破産者)のすべての資産を清算することで、債権者への配当を行う、裁判所による強制的な精算手続きです。この破産は、債務を返済することのできなくなった債務者からだけでなく、債権者から申し立てることも可能です。よく自己破産というのは、債務者の方から破産の申し立てをした場合のことを「自己破産」とよんでいます。

破産しただけでは借金は免除されません

しばしば「破産は借金の返済義務を免除してもらうための手続き」という説明を見かけますが、これは厳密に言えば間違った説明です。破産はあくまでも清算のための手続きですから、破産しただけで借金の返済が免除されることはありません。また、破産しても返済義務が免除されない債務もあることに注意が必要です。

 
【関連記事】47.破産しても借金の返済が免除されない非免責債権の7つのパターン

 

免責によって借金の返済義務は免除されます

破産手続きが開始されると、債務者(破産者)の資産は、破産管財人によって管理されます。その財産が換金され(換価といいます)、それが債権者に配当されることで、破産手続きは終了します。破産は、借金が返済できない場合でなければ申し立てることができませんから、配当をしても債務が必ず残ることになりますので、残った債務の取り扱いが問題となります。
 
その残った債務の支払い義務を免除するための手続きを「免責手続き」といいますが、そこで「免責決定」を得られることではじめて、借金の返済義務が免除されることになります。

 
【関連記事】 50.破産しても免責が認められない8つの理由とは?
       56.ギャンブル・FX・株・キャバクラ等の借金でも破産すると免責できる?

 

破産手続きを申し立てるまで

自己破産を申し立てる場合の大まかな流れは次の通りです。

 

 

破産の申立ては、建前としては本人で行うことも可能ですが、実際には、弁護士に依頼することが大半です。多くの裁判所では、本人が申し立てることに良い顔をしません。東京地方裁判所の場合には、原則として弁護士代理人による申立てしか受け付けていません(司法書士に申立書を作成してもらったとしてもダメです)。東京地方裁判所がこのような取り扱いをしていることには理由があるのですが、それについては、下記の関連記事で詳しく触れています。

 
【関連記事】 49.個人破産は同時廃止が原則ではない。少額管財となる6つ条件とは

弁護士には隠しごとをしない

弁護士に依頼をすることを前提にお話すれば、破産を申し立てる際に必要な調査や作業のほとんどは弁護士が行いますので、依頼人(あなた)は弁護士に任せておけば良いということになります。
 
しかし、本当に破産を申し立てるべきか、破産を申し立てた際に、同時廃止になるのか(少額)管財の扱いとなるのか、免責を得られるのか、といった重要な問題について正しく見通しを立てるためには、依頼人(あなた)の借金や資産の状況について、正確な情報を把握しておく必要があります。

 

借金の問題を巡るさまざまなことについては、他人に話したくないと思うこともたくさんあるかと思いますが、弁護士に隠し事をしていたり、弁護士に嘘をついたりしたことが、後に依頼人(あなた)自身の不利益となって跳ね返ってくることがありますので、そのようなことがないように注意されてください。その意味でも、本当に信頼のできる弁護士にご依頼されることが大切です。

 
【関連記事】16.債務整理に強い弁護士・司法書士を見つけるための8つのポイント

 

破産手続き開始後の流れ

下の図は破産手続き開始から終了までの流れを簡単にまとめたものです。

 

 

管財事件

先に説明しましたように、破産手続きは、破産者の財産を換金して債権者に平等に配当するための手続きです。そのために、破産手続きが開始されると、破産者が所有している財産を管理した上で、換金(換価といいます)しなくてはいけません。そのために破産管財人とよばれる人が選任されます。破産者の資産が換価され、それが債権者に配当がされることで、破産手続きは終了します。

 

このように、破産手続きにおいて、破産管財人を選任して破産者の財産を換価、配当する場合の破産手続きを管財事件とよんでいます。破産法の建前としては、この管財事件が破産手続きの原則的なやり方です。

 
【関連記事】 48.破産「管財事件」と「同時廃止事件」の違い。どのように決まるか?

 

同時廃止事件

しかし、個人の破産者の場合には、破産を申し立てた時点で、債権者に配当できるだけの財産がない場合や、仮に財産があったとしても換価・配当にかかる費用すら捻出できないほどの財産に過ぎない場合が少なくありません。
 
その場合には、換価・配当の手続きを行うメリットがありませんので、破産手続きを開始と同時に取りやめる(廃止)という扱いをすることになります。上の図でいえば、赤の矢印で示した部分がすべて省略されるのです。このような破産事件を同時廃止事件とよんでいます。

 
【関連記事】 48.破産「管財事件」と「同時廃止事件」の違い。どのように決まるか?

 

現在の運用は個人破産=同時廃止とは限りません

申し立てた破産事件が、管財事件として扱われるか、同時廃止として扱われるかは、破産者にとっては、重大な関心事です。なぜなら、管財事件の場合には、裁判所に納めなければならない予納金の金額が高くなる(通常管財事件では50万円~となります)だけでなく、破産手続きも時間がかかることになるからです。

 

ウェブ上の情報では、個人破産は(ほぼ)同時廃止になるという説明を目にすることがありますが、これは正しくはありません。確かに、以前は、個人破産のほとんどすべてが同時廃止事件として扱われていましたが、裁判所の統計上を確認しても、現在では、一部の裁判所を除いては、同時廃止とされる事件は、約半分程度に過ぎません。

 

このように運用が変わった背景には、少額管財とか簡易管財とよばれるような破産手続きのやり方が広まってきたこと等がありますが、これについては、下記の関連記事で詳しくお話しています。

 
【関連記事】 49.個人破産は同時廃止が原則ではない。少額管財となる6つ条件とは

 

破産手続きの終了と免責手続きの開始

同時廃止決定がなされた場合や、配当が終了した場合には、破産手続きが終了します。法人の破産の場合には、これで破産手続きは本当に終わりとなります。法人の場合であれば、破産したことが解散事由となりますから、その法人は清算の手続きを済ませた上で、消滅(解散)することになります。

 

しかし、個人の場合には、破産手続きによっても返済することのできなかった債務の取り扱いについてさらに手続きを進める必要があります。これが免責手続きです。免責手続きによって免責を受けられた場合には、破産によっても返済することができなかった債務の返済義務が免除されることになります。

 
【関連記事】 50.破産しても免責が認められない8つの理由とは?
       51.破産による制限の終了「復権」とは?復権される5つのパターン

 

破産は終わりの手続きではなく、「新しいスタート」する手続きです

よく「破産したら終わり」というような声を耳にします。確かに「破産」という言葉は、イメージの良くない言葉です。映画やテレビドラマでも、破産(経済的な破綻)は、悲惨なシーンとセットで描かれます。たしかに、法人の破産の場合であれば、破産によってその法人は消滅することになりますから、破産は終わりなのかもしれません。

 

しかし、個人の場合であれば、破産手続きは、終わりではなく、借金の問題から解放されて新しい生活をはじめる、生活をやり直すためのスタートを切るための救済制度なのです。

 

確かに破産することで、新規のローンは組めなくなります。しかし、これは他の債務整理をした場合でも同じですし、借金の返済が延滞している時点で新規借入の審査は厳しくなっています。また、破産することで、一定の資格制限や職業制限を受けることはありますが、通常のサラリーマンの場合には影響を与えませんし、免責決定によってこの制限は解除されます。破産につきまとっている悪いイメージにとらわれてしまうことで、再スタートのきっかけ失ってしまうことが、もっとも不幸なことなのかもしれません。

 
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個人再生によって債務整理を行う最大のメリットは、破産の場合と違って財産を処分せずに済むことにあります。特に住宅ローンの残っている不動産については、住宅ローン特則によって手厚く保護されていますから、これを利用できる場合であれば、まず住宅を手元に残しておくことは可能でしょう。
 
そうなれば、次の関心事は、ローンの残っている自動車の取扱いについてです。

 

車を残せるかどうかを判断する要素

個人再生で自動車を手元に残せるかどうかということについて、簡単にまとめたものが、下の図です。この際に重要となるのは、①所有者は誰か?②自動車に担保が設定されているか?の2つです。

 

 

確実に手元に残せる場合

自動車の所有者(車検証の所有者欄に記載されている者)が再生債務者(あなた)で、自動車ローンを完済しているという場合には、個人再生によって自動車を失うことはありません。これは、個人再生は財産の処分によって債務を返済する手続きではないためです。

自動車に一切の負担がない場合

また、この自動車のローンを完済していない場合であっても、この自動車に何の担保権も設定されていない場合(たとえば、銀行等のフリーローンで自動車を購入した場合)であれば、自動車を引き上げられることはありません。

手元に残った自動車は資産として計上されます

ただし、自動車が債権者に引き上げられずに手元に残った場合には、この自動車の価値を清算価値として計上しなければなりません。たとえば、高級外車や人気車のように、市場価値の高い自動車である場合には、清算価値が高くなることで、それだけ返済額も高くなることに注意が必要です。

所有者が家族等の再生債務者以外である場合

次に、所有者(車検証の所有者欄に記載されている者)が再生債務者(あなた)の家族であるという場合には、たとえ使用者が再生債務者(あなた)であったとしても、自動車を失うことはありません。この自動車は再生債務者(あなた)の物ではありませんから、再生債務者(あなた)の債務整理の影響を全く受けません。

車を手元に残せないケース

所有者(車検証の所有者欄に記載されている者)がローン会社(信販会社)である場合には、原則として、ローン会社(信販会社)による車の引き上げを阻止できません。後で触れるような例外的な方法がないわけではありませんが、この場合は自動車を諦めることになると覚悟しておいた方がよいでしょう。

一般的な自動車ローンの仕組み

所有権名義人(車検証の所有者欄に記載されている者)が、自動車ローンの債権者や自動車販売会社(中古車ディーラー)である場合には、この自動車には、確実に担保権が設定されていることになります。

 

一般的な自動車ローンの場合には、車検証の所有者をローン債権者である信販会社やリース会社(あるいは自動車販売店)にしておき、使用者を購入者(あなた)として登録する形で、自動車が登録されます。この所有者名義は、ローンが完済するまで変更することができません。それによって、購入者がローンの支払いを終える前に、債権者に内緒で自動車を転売することを防止しているのです。

 

このような契約(担保)を「所有権留保」といい、民法上の規定はないのですが、慣習上の担保として認められています。この場合に、ローンの延滞や債務整理がなされることで、債務者である購入者が期限の利益を失うと、ローン債権者は、この自動車を引き上げることになりますが、これは担保権の実行にあたるので、阻止することができないのです。

自動車販売会社が名義人の場合には残せる場合もある

ただし、自動車の所有者(車検証の所有者欄に記載されている者)が自動車販売会社(や中古車ディーラー)となっている場合には、自動車ローンの契約内容によっては、自動車の引き上げを拒絶できる可能性があります。

 

自動車ローンの契約内容が、立替金方式によるものなのか、集金保証方式とよばれるものなのかによって、結論が変わってきますが、あなたの自動車ローン契約がこのうちのどちらなのかということを、法律知識のない人が正しく判断することは、かなり難しいことですから、個人再生を依頼されている弁護士(司法書士)に自動車ローンの契約書を確認してもらうようにしてください。
 

ただし、その契約が立替金方式の場合であっても、手元に残せる可能性があるにすぎませんから、実際には引き上げられる可能性の方が高いと思われます。

例外的に自動車を手元に残せる方法

自動車ローンの支払いが残っていて、ローン債権者による車の引き上げを阻止できない場合であっても、例外的に自動車を手元に残せる方法がないわけではありません。
 
たとえば、個人タクシーや軽貨物運送等を営んでいる個人事業主の場合であれば、自動車を失うことで、再生計画を履行するために必要な収入を得ることが難しくなってしまいます。そのような場合には、裁判所の許可を得た上で、ローン会社と弁済協定(別除権協定)を結ぶことで、車を手元に残すことができます。

 

この場合には、残っている自動車ローンは、「共益債権」とよばれる扱いになりますので、個人再生とは別に支払いをすることができるようになります。ただし、裁判所の許可を得るためには、自動車の使用が「事業のため」に特に必要でなければなりません。「通勤」や「家族の送り迎え」のためという理由では、裁判所の許可はおりませんので、注意が必要です。

絶対に車を手元に残したい場合 ――親族などに買い受けてもらう

担保の設定された自動車ローンが残っていて、共益債権による処理も無理だという場合には、再生債務者(あなた)のできる方法では、自動車を手元に残すことはできません。

 

それでも自動車を手元に残したいというときには、家族や親族に、このローンの残額を一括で支払ってもらう第三者弁済を行うのが、一番確実な方法です。

 

自動車ローンそれ自体を親族に引き継いでもらうという方法もないわけではないですが、ローン会社がこの債務引き継ぎに応じることは、あまりありません(ローン会社にメリットがないため)。

 

なお、親族や家族が第三者弁済で買い受けてくれた際の自動車の名義変更は、時期を間違えると財産隠しや偏頗弁済を疑われる可能性がありますから、弁護士(司法書士)によく相談してからするようにしてください。

 

【関連記事】32.個人再生のメリットデメリットを専門家が詳しく解説
      34.個人再生では、具体的にどのくらいの金額を返済するのか?
 
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